SIer・受託開発の組込み求人に出す志望動機|複数顧客で書く型
SIerと受託開発。未経験から組込みを目指すと、SESと並んでよく出てくる応募先です。私が約50社に応募して書類が通った12社も、大半はSESとSIerでした。
- 「作る側」ではなく「請け負う側」として志望動機を書く
- 受託を選ぶ5つの理由から、自分の経歴に合うものを1つ選ぶ
- SESと受託で、志望動機のどこが変わるかを押さえる
先に結論を書きます。SIerや受託の志望動機は、「作る側」ではなく「請け負う側」として書く。ここを外すと、メーカー向けの文章をそのまま出したように見えてしまいます。
なお、この記事は中途の転職を前提に書いていますが、型と書き分けは新卒の就活でもそのまま使えます。前職の話を学業や研究に読み替えてください。ただし新卒は未経験を育てる前提の採用なので、受託だけに絞らずメーカー系も併せて見ることを勧めます。学生が書く場合の文章の形は新卒向けの作例にあります。
- SIer(エスアイヤー)
- システムの設計・開発を請け負う会社。組込みの分野では、メーカーから製品のソフト開発を請け負う受託開発会社を指して使われることが多い。
- SES
- 技術者を客先に派遣・常駐させて働く契約形態。人を出す形なので、請け負う範囲の考え方が受託とは違う。
目次
SESとSIerで、志望動機はどこが変わるか
同じ「メーカーではない会社」でも、聞かれていることは違います。
自社製品を持たない会社なので、「この製品が好きです」という動機は使えません。代わりに書けるのは、いろいろな顧客の製品に、要求の段階から関われることです。1つの製品を長く育てるメーカーとは、面白さの種類が違います。
年収の面でも触れておくと、私の肌感ではSIerはメーカーと同程度で、SESより高いオファーが多かったです。統計ではなく、私が転職活動をしたときの印象として受け取ってください。
SIer・受託を志望する理由は、この5つから選ぶ
「なぜメーカーではなく受託か」に答えるための材料です。SIerの志望動機として実際に評価されているのは、次の5つ。この中から自分の経歴に合うものを1つ選んでください。
- 多種多様なシステム開発を経験して、その先のキャリアを作りたい1製品だけを見続ける働き方に不安がある人
- 幅広い知識と経験を蓄えて、顧客に最適な提案をしたい提案や折衝を仕事の中心に置きたい人
- 複数業界を見たうえで、特定の業界に専門化していきたいまだ関わりたい領域を決めきれていない人。決め方まで書けると強い
- 顧客の現場の負担を、システムで直接減らしたい前職で現場の非効率を目の当たりにしてきた人
- 広く技術に触れながら、人と話して進める仕事がしたい1人で黙々と作るより、相手がいる仕事のほうが合う人
「複数業界を見たうえで専門化する」は、自社製品を持つメーカーでは書けません。受託を選ぶ理由として一番噛み合うのがこれです。「いまは決めきれていない」と正直に書いても弱くならず、むしろ決め方(どういう基準で選ぶつもりか)まで書けると、考えて応募した人だと伝わります。
選んだ理由を、前職の事実で裏づける
理由を書いたら、次は「それでやっていけるのか」に答えます。志望動機の③にあたる部分です。受託の会社が未経験者に見ているのは、顧客の仕事を任せられる人かどうか。技術力そのものは、そのあとの話になります。前職の経験は、この観点で1つだけ書いてください。
相手が本当に必要としているものを、言葉の裏から読み取った経験。受託は要求仕様を受け取るところから始まるので、ここは直接つながります。前職で顧客や他部署の要望を形にした話があれば書いてください。
納期を握って進めた経験。受託は約束した期日に約束したものを出す仕事です。前工程と後工程を意識して動いた経験、遅れやイレギュラーを早めに共有した経験は、そのまま評価されます。
結果を相手に分かる形で報告した経験。受託では顧客への説明が業務に含まれます。私は前職で解析結果を社内外へ報告していた経験を面接で話しましたが、この手の話は組込みでも評価されました。
私自身の話をすると、前職で他部署から指名で不具合解析を2件、依頼試験を1件受けたことがあります。頼まれる側として仕事を受けた経験は、受託の会社に対しては分かりやすい材料になります。自分の経歴の中に、指名で頼まれた仕事がないか探してみてください。
SIer向けの作例(置き換えるところつき)
文章にすると、こうなります。私が実際に出したものではなく、受託開発への応募のために組み直した作例です。型は私が50社に使ったものと同じ5要素です。
- ① 結論
- 顧客の要求を製品の動きとして形にする仕事に関わりたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では産業機器メーカーで製品の評価を4年担当し、社内外からの要望を試験項目に落とす業務を任されてきました。求められている条件を読み取って形にする作業に手応えを感じ、その部分をソフト側から担いたいと考えるようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンで小さな装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 要望を受け取って項目に落とし、期日までに結果を出して報告するという進め方は、受託開発の仕事の流れと重なると考えています。
- ④-a 業界
- ◯◯分野の製品に、要求の段階から関わりたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社はその分野の開発を複数のメーカーから請け負われており、1社の製品に限らず関われる点に惹かれました。求人票にある△△の工程は、私が前職で関わってきた部分に近い領域です。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。3年後には、要求仕様を読んで実装まで任せてもらえる状態を目指します。
置き換えるのは②③④です。④-bに「1社の製品に限らず」という受託ならではの理由を入れておくと、メーカー向けの文章の使い回しに見えません。
④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層です。この記事が扱うのは④-bで、④-aの書き方は業種ごとの記事に分けています。
5要素それぞれの意味と埋め方は、組込みエンジニアの志望動機の作り方に書いています。
SIerでよくあるNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 上流工程に携わりたいです | 未経験がいきなり上流に入る配属はほぼない。仕事の理解が浅いと読まれる |
| 幅広い製品に関われそうだと思いました | 会社の説明文をそのまま返している。自分の話になっていない |
| 貴社の製品に魅力を感じました | 自社製品を持たない会社に出すと、会社を調べていないと分かる |
| 大規模なプロジェクトに関わりたいです | 規模の希望であって、請け負う仕事を選ぶ理由になっていない |
| 技術力を高めてスキルアップしたいです | 自分の得だけの話で、顧客と会社側の得が書かれていない |
1行目は惜しい書き方です。上流に関心があること自体は悪くないので、時期を分けて書くと読める文章になります。
違いは、いまできることと、これからやりたいことを分けている点です。未経験の応募で上流の話を先に出すと足元が浮いて見えます。
キャリアプランの欄で何を書くか
受託の会社に出すときに、私が意識したほうがいいと思っていることがあります。
効率化や内製化が進むなかで、外注として仕事を受ける事業は今後厳しくなる可能性があると私は見ています。だからこそ、その会社で何の技術を身につけるのかを具体的に書けている人は強い。「幅広い経験を積みたい」ではなく、「マイコンの下回りを扱えるようになる」「担当機能の設計まで任される」といった形にしてください。
もう1つ。受託で経験を積んでからメーカーへ移る道は実際にあります。ただし、それを志望動機に書く必要はありません。書くのは、この会社にいる期間で身につけるものだけで足ります。
よくある質問(FAQ)
SESとSIer、未経験ならどちらが入りやすいですか?
私が応募したときの体感では、どちらも未経験の書類は通りやすかったです。メーカーと比べれば、どちらも現実的な入口になります。違いは働き方なので、客先常駐に抵抗があるかどうかで選ぶのが分かりやすいと思います。
自社製品がない会社に、何を志望理由として書けばいいですか?
会社が請け負っている分野を見てください。どの業界のどんな製品を扱っているかは、実績ページや求人票の担当業務に書かれています。製品名の代わりに分野を名指しすれば、調べたことは伝わります。
SIerの年収はどのくらいですか?
私の肌感では、メーカーと同程度でSESより高いオファーが多かったです。ただし会社差が大きいので、統計ではなく私の印象として受け取ってください。年収の話は志望動機の欄ではなく、希望年収の欄や面接で伝えてください。
受託だと資格は評価されますか?
資格をそろえてから応募する必要はありません。私が持っている応用情報技術者やC言語プログラミング能力認定試験1級は、入社後の業務で役に立った資格で、転職前にそろえたものではありません。
まとめ
SIer・受託開発の組込み求人に出す志望動機の要点です。
- 「作る側」ではなく「請け負う側」として書く
- 自社製品ではなく、会社が扱っている分野を名指しする
- 要求を読む力、段取りを守る力、説明する力を前職から翻訳する
- 上流への関心は、時期を分けて書く
- キャリアプランでは、身につける技術を具体的に名指しする
受託は、1社の製品に閉じずに要求の段階から関われる場所です。その面白さを自分の経歴と結びつけて書けたら、書類はきちんと読まれます。
書類の前後を、抜けなく埋める
学習の順番、応募先の選び方、面接で聞かれること。未経験からの転職の流れを1本にまとめています。応募先の型を決めてから書類に戻ると、書く内容が定まります。