組込みエンジニアの志望動機の書き方|未経験の例文と9通りの書き分け
履歴書の志望動機について、「書き方が分からない」、「動機理由に悩む」といった方も多いでしょう。そこで今回私のほうで、キャリア別(新卒含む)、学部別、業界別、業種別に応じた志望動機の考え方や書き方の例について記事に纏めてみました。
- 志望動機を5つの要素に分解し、自分の経歴から材料を入れて1通書き切る
- 応募先が変わったとき、どこだけ書き換えれば済むかが分かる
- 私が過去に書いた志望動機を例に、志望動機の書き方を学ぶ
目次
この記事の読み方|どこに何があるか
この記事は約6万字あります。上から順に読む前提では作っていません。やることは3つで、真ん中の「2」だけでも1通書けます。
1. 全員に共通する部分(先に読む)
実物例文集|応募約50社で使った実物と、添削の実例私が実際に出した1通、新卒向けのフル例文、ありがちな1通の添削、差し込める言い回し
2. 自分に当てはまるところだけ開く(ここが本体)
まず早見表で自分がどれかを決めてから、下のカード1枚だけを開いてください。9つ全部を読む必要はありません。それぞれに「志望理由の候補・例文・よくあるNG」がそろっています。
出身機械・電気系から設計・評価・生産技術。ハードの経験を組込みの言葉へ
出身Web・業務系から同じソフトなのに「なぜ組込みか」に答える
応募先メーカー・メーカー子会社その製品でなければならない理由の作り方
応募先技術派遣・SES「なぜ派遣か」に使える7つの理由
応募先SIer・受託開発なぜメーカーではなく受託かに答える
業種車載・自動車「車が好き」を動機に変える。車載の3つの現実つき
業種IoT・スマート家電生活の困りごとから作る4ステップ
業種ロボット・FA人手不足を背景に置いて、現場の経験を制御の言葉へ
3. 出す前に見る
確認書く前に応募資格を見る学部指定を見落とすと、出来と関係なく落ち続ける
新卒新卒の就活で使うときに変わる2か所中途と違うのは②と⑤だけ
採用側は志望動機のどこを見ているか【体験談】
中でも面接官の質問が特に多かった記載箇所についてこの記事でまとめるようにしています。
私が未経験で受けた面接で実際に聞かれた質問と、そこから読み取った意図を並べます。
| 私が実際に聞かれた質問 | 見られていたもの(私の解釈) | 志望動機のどこで答えるか |
|---|---|---|
| なぜ組込みエンジニアになりたいのか | 動機の強さと一貫性 | ①結論・②背景 |
| なぜ機械系からソフトへ移るのか | 転職理由に納得感があるか | ②背景 |
| C言語はどこまでやったか。実際に何か作ったことはあるか | 自分で学べる人かどうか | ②背景・⑤入社後 |
| 弊社が何をやっている会社か知っているか | 企業研究の本気度、何を作りたいか | ④-a業界・④-b企業 |
| なぜうちの会社なのか | 志望動機の具体性 | ④-b企業 |
| キャリアプランはあるか | 入社後の成長イメージ | ⑤入社後 |
この表から分かるのは、面接官は志望動機の内容が稚拙でないか?動機に矛盾があるようなところがないか?などを見ているのだと思います。
何故弊社を選ぶのか?なぜ転職するのか?どれだけ本気度があるのか?その具体的な根拠を書面と面接を通して確認しているのだと思います。
志望動機は5つの要素でできている
5要素それぞれが答えている質問
私が転職時によく確認された内容は5つになります。以下の5つは毎回面接で確認されたので確実に抑えていただきたいです。
- ① 結論
- 組込みエンジニアを志望する理由を、言い切る
- ② 背景
- ①をそう考えるに至った経験。期間や理由を入れる
- ③ 接続
- 前職や専攻の経験を、組込みで使える力として言い換える
- ④-a 業界
- 車載、家電・IoT、ロボットなどその製品領域を選んだ理由
- ④-b 企業
- 同じ業界の他社ではなくその会社を選んだ理由を、製品名や担当工程で
- ⑤ 入社後
- 貴社だからこそ私はこうなれるという具体像をだす
「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」は別の質問で、面接でも別々に聞かれます。ここを1つにまとめて「貴社の製品に魅力を感じました」で済ませると、業界を選んだ理由が抜けたまま提出することになります。
応募先ごとに書き換えるのは④だけ
①から③は使い回せます。書き換えるのは④で、その中でも業界が変わるかどうかで範囲が変わります。⑤については業界や業種などで変わりますが、ある程度のテンプレで乗り切れます。
| 次に出す会社が | 書き換える範囲 |
|---|---|
| 同じ業界の別の会社(車載→車載) | ④-bだけ。製品名と職種を差し替える |
| 別の業界(車載→家電) | ④-aから。業界を選んだ理由を書き直し、④-bも合わせる |
| 応募先の業態が違う(メーカー→SES) | ④-b。働き方を選んだ理由に置き換える |
私は50社分をこの作り方で回しました。毎回ゼロから書いていたら、大変ですがある程度テンプレ化することで省力化しつつ品質の高い志望動機が作れると思います。逆に、④まで共通のまま出した会社は、面接で「なぜうちなのか」を聞かれたときに詰まるので注意です。
5要素に自分の材料を入れる
例文はどれも他人の経歴でできているので、自分の材料を掘り出す作業を先にやります。
①の「なぜ組込みか」を下記から選ぶ
最初の1文をゼロから考える必要はありません。組込みという仕事を選ぶ理由として、実際に評価されているものは6つに整理できます。ここから自分に当てはまるものを1つ、多くて2つ選んでください。
もしこの6つの中になければ自分で考えても大丈夫です
- 自分の書いたソフトが、物として世に出ていく成果物が手元に残らない仕事をしてきた人
- 人の生命や生活を支える製品の、中身(ソフト)を作る誰の役に立っているのか見えない仕事に物足りなさがある人
- ハードとソフトの両面に卓越した技術者になりたい機械・電気の知識がある人、ソフト側からハードに近いところまで見たい人
- 限られたメモリと時間の中で成立させる設計がしたい制約のある条件で工夫しものづくりをしたい人
- 品質が製品の安全に直結する環境で仕事がしたい評価・品質・保全など、不具合と向き合ってきた人
- 実機を触って動かし、直すところまでやりたい画面の中だけで完結する仕事から離れたい人
理由は単純で、すべての志望者が書くからです。同じく「スキルを伸ばしたい」「手に職をつけたい」も避けてください。会社が得るものが書かれておらず、自分本位と読まれます。6つはどれも「何を作るか・何に関わるか」で書かれています。主語を自分の成長ではなく製品に置くのがコツです。
②以降の材料を掘り出す
①が決まったら、残りの材料を出します。紙かメモアプリに、次の質問への答えを箇条書きで出してください。文章にするのは後です。
| 要素 | 自分に問う質問 | 私の答え |
|---|---|---|
| ①② | いまの仕事の何が物足りないのか。それは組込みで解決するのか | 機械だけでは今後のものづくりで足りない。電動化とITを両方持ちたい |
| ③(1つ目) | 前職で誰かに褒められた・任された仕事は何か | 不具合解析を評価されて、新規製品の開発を任された |
| ③(2つ目) | その仕事のどの部分が、製品を作る仕事全般で使えるか | 故障したら何に影響するか、原因をどう追うかという考え方 |
| ④-a ④-b |
ここでは答えを出しません。業界と会社ごとに作り直す部分なので、次の章で作ります | (応募先ごとに差し替え) |
| ⑤ | 組込みで何ができるようになりたいか。3年後にどうなっていたいか | 担当する機能のソフトを一人で書けるように |
③の質問を2つに分けているのには理由があります。「任された仕事」をそのまま書くと前職の説明で終わってしまい、組込みの話になりません。実績→評価→任命という流れで書いて、最後に「この力は対象が変わっても使える」と接続すると、読み手の頭の中で前職と応募職種がつながります。私は職務経歴書もこの順で書きました。
「未経験なので熱意で」と書きたくなったら
熱意は書いても伝わりません。ただ、単純にやる気がありますだけでは伝わりません。
私が面接で一番反応が良かったのは、熱意の表明ではなく作ったものでした。
転職前の約1ヶ月で、Arduinoを使って部屋の温湿度から熱中症のリスクを監視し、危険域に近づいたら自動でエアコンの冷房を入れる装置を作りました。部品代はボード込みで4,000円ほど。この話をしたとき、面接官から「実生活でそんなものを自作するなんて、組込みエンジニアへの意欲が高そうですね」と言われました。
高度である必要はありません。小さくても、考えて作りきって使っている。それが書ける状態なら、②の背景と⑤の入社後が具体的になります。
「なぜこの業界か」「なぜ弊社か」は後付けで作る
5要素で一番手が止まるのが④です。しかもここは「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層を書く必要があります。正直に書くと、私はこの両方を後付けで作っていました。
応募企業のWebサイトを開いて、何の製品を扱っているか、どんな強みがあるか(業界で何位なのかなど)をひたすら見る。そこから逆算して、その会社用の志望理由を組み立てるといった手法で作りました。
企業サイトと求人票で見る5か所
- 製品ページ:何を作っている会社か。自分が触れたことのある製品はあるか
- 会社案内・沿革:業界での位置づけ。シェアや取引先で語れるものがあるか
- 技術・開発の紹介:その会社が売りにしている技術領域。ここが④-bの核になる
- 求人票の担当業務:担当するのは製品のどの部分か。上流か、実装か、評価か
- 求人票の勤務地:どこで働くことになるか。転勤の有無もここで分かる
このうち求人票の担当業務を見落とす人が多いです。会社への憧れを書いても、担当する仕事の話が抜けていると「うちの求人を読んでいないな」と伝わります。私は④-bと⑤をセットにして、「貴社が扱っている◯◯の分野で、求人票にある△△の工程に携わりたい」という形でつないでいました。
勤務地は「その会社でないとダメな理由」になる
意外と使われていないのが、最後の勤務地です。
組込みの求人を見ていくと、似たような製品を作っている会社が複数出てきます。製品でも技術でも差がつけにくいとき、実際の決め手になっているのは土地であることが少なくありません。同じような会社がA県とB県にあって、自分の地元がA県に近いならA県を選ぶ。
ただし、そのまま書くと弱くなります。
違いは、その土地に住み続ける理由があるかどうかです。「近いから」は応募者側の都合でしかありません。一方、家庭の事情でその土地に生活の基盤を置くと決まっているなら、それは長く働ける根拠になります。採用する側から見れば、早い時期に辞める心配が減る材料です。未経験を採る会社ほど、育てた人に残ってほしいと考えています。
注意は2つ。勤務地の話だけで④-bを終わらせないこと。土地の理由は、製品や工程の理由とセットにして初めて成立します。もう1つは転勤の有無を先に確認しておくこと。「この土地で働きたい」と書いたのに全国転勤ありの求人だった、という食い違いは面接で必ず出ます。
例文集|応募約50社で使った実物と、添削の実例
ここからが本題です。実際に通った1通、新卒向けの1通、ありがちな文章の添削、そして差し込める短い言い回しの順に出します。
1. 私が実際に出した1通【体験談】
企業名が入る部分を外して骨子を再構成したものです。応募約50社のうち12社の書類が通ったときに使っていた文章です。
もともと「ものづくり」が好きで、大学では機械工学を学び、新卒で自動車部品メーカーに入社しました。そこで製品の評価や不具合解析に携わり、要件定義から製品評価までを一貫して経験しています。ただ、EV化やIoT化が進むなかで、これからのものづくりでは電動化とIT、両方の知識を持ったエンジニアが求められると考えるようになりました。ものづくりのエンジニアとして生き残るために、私自身がその両方を手に入れたい。機械の知識を活かしながらソフトに踏み込める組込みエンジニアが、その答えだと考えて志望しました。前職で身につけた不具合解析の考え方は、対象がハードからソフトに変わっても使えると考えています。入社後はまずC言語とマイコンの理解を固め、将来はハード・ソフト共に活躍できるエンジニアになりたいです。
面接でも同じ筋を毎回話しました。車載業界そのものがソフトウェア中心の開発に移っていることを、追い風として一言添えていました。
5要素に分解すると、①結論が「機械の知識を活かしてソフトに踏み込める組込みを志望」、②背景が「ものづくりが好き→機械工学→評価・解析」。③接続が「不具合解析の考え方は対象が変わっても使える」、⑤入社後が「まずC言語とマイコン→ハード・ソフト両方」です。④だけが空いていて、応募先ごとに差し込んでいました。
2. 新卒向けのフル例文
中途の1通だけでは置き換えにくいので、学生向けの形も出します。これは私の体験ではなく、新卒の方が使うための作例です。
- ① 結論
- 製品を実際に動かすソフトを書く仕事がしたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 大学の演習でマイコンを扱ったとき、使えるメモリと処理時間が決まっている中でプログラムを動かす難しさに惹かれました。その後は個人でマイコンボードを買い、センサーの値に応じて動きを変えるプログラムを自作しています。
- ③ 接続
- 研究では測定装置が思ったとおりに動かない原因を切り分ける作業を続けてきました。不具合の解析が多くを占める組込みの開発でも、同じ進め方が使えると考えています。
- ④-a 業界
- ◯◯の分野は、製品の使い勝手をソフト側が決めている領域だと理解しており、そこで働きたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社はその分野の製品を自社で開発されており、募集要項にある△△の工程に関わりたいと考えました。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
置き換えるのは②③④です。②には専攻や演習、研究、アルバイトから組込みに関心が向いた出来事を1つ。③は困って解決した話で足ります。出身別のもう少し具体的な作例は、9パターンの書き分けにある文系・機械電気系・情報系の各記事に置いてあります。
3. ありがちな1通を添削してみる
未経験の方が最初に書きがちな文章を、5要素に沿って直します。内容を足すのではなく、持っている材料を出し切るだけで変わります。
ものづくりが好きで、貴社の技術力の高さに魅力を感じ志望しました。前職では機械製品の評価を担当しておりました。未経験ですが、研修で学びながら一日も早く貢献できるよう努力いたします。何卒よろしくお願いいたします。
悪い文章ではありません。ただ、これでは①がふわっとしていて、②③④がほぼ空です。同じ人が同じ経歴で書き直すと、こうなります。
- ① 結論
- 製品の性能を決めている制御側を、自分で作れるようになりたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では機械製品の評価を4年担当し、不具合の原因を追う中で、性能を左右しているのがソフト側の作り込みだと感じる場面が増えました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を動かす装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 不具合が起きたときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、対象がハードからソフトへ変わっても使えると考えています。
- ④-a 業界
- ◯◯の分野は、製品の使い勝手を制御側が決める領域だと理解しており、そこで作る側に立ちたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社の◇◇は、前職で仕様を検討する際に比較対象として何度も調べた製品です。求人票にある△△の工程は、その製品の応答性を決める部分だと理解しています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語と担当製品の理解に集中し、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
足したのは熱意ではなく情報です。前職の年数(4年)、気づいたきっかけ(不具合の原因を追う中で)、自分で終わらせたこと(C言語と装置1つ)、応募先の製品名と担当工程、入社後の第一歩。この5つが入るだけで、同じ経歴でも読める文章になります。逆に「未経験ですが努力します」「何卒よろしく」は、あってもなくても評価が変わりません。
4. そのまま差し込める言い回し
フルの例文より、部品のほうが使いやすいこともあります。自分の状況に近いものを選んで、名詞だけ入れ替えてください。
| 使う場所 | 言い回し |
|---|---|
| ②きっかけ(仕事で) | ◯◯を担当する中で、製品の動きを決めているのが内部のソフトだと知り、自分でその部分を作れるようになりたいと考えるようになりました |
| ②きっかけ(生活で) | 家族のために◯◯を自動化できないかと考えたことが、組込みに関心を持ったきっかけです |
| ②学習の事実 | 転職前にC言語の基礎を学び、マイコンで◯◯する装置を1つ作っています |
| ③接続(解析の経験) | 不具合が起きたときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、対象が変わっても使えると考えています |
| ③接続(段取りの経験) | 前工程と後工程を意識して進めてきた経験は、大人数で進める組込みの開発でも活かせると考えています |
| ③接続(説明の経験) | 専門知識のない相手に技術的な内容をかみ砕いて伝えてきました。開発でも他部署や客先へ説明する場面で活かせると考えています |
| ④-a 業界(車載) | 出荷後に簡単には直せず、不具合が事故に直結する領域だと理解しています。その厳しさの中で作る側に立ちたいと考えました |
| ④-a 業界(IoT・家電) | 生活の中の困りごとを製品として解決する領域に関わりたいと考えています |
| ④-a 業界(ロボット・FA) | 現場の作業を機械で置き換える領域に関わりたいと考えています |
| ④-b 企業 | 貴社は◯◯を手がけられており、求人票にある△△の工程は、製品の□□を決める部分だと理解しています |
| ⑤入社後 | 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています |
どれも◯◯の中身を自分の言葉に置き換えないと機能しません。そのまま出すと、他の応募者と同じ文章になります。
落ちる志望動機によくある5つの型
よく出てくる型を5つ挙げます。どれもそのままでは落ちるが、少し足せば通るものです。
| 落ちる書き方 | なぜ落ちるか | 足すもの |
|---|---|---|
| ものづくりが好きなので志望しました | 組込みの志望者はほぼ全員が書く。差がつかない | なぜソフトなのか。なぜ今なのか |
| 技術力を高めてスキルアップしたい | 自分の得だけで、会社側の得が書かれていない | その技術で何に貢献するか |
| 研修が充実しているので学ばせていただきたい | 学習の主体が会社になっている | すでに自分で始めていることの事実 |
| 貴社の技術力の高さと安定性に魅力を感じました | どの会社にも出せる文章=企業研究をしていないと読まれる | 製品名・領域の名指し |
| これから伸びる分野だと思ったので | 業界予測の話で、自分の話になっていない | 自分の経験と業界の変化の接点 |
出身・応募先・業種での書き分け(9通り)
ここまでの5要素は全員に共通です。ただし②背景・③接続・④なぜここか の中身は、あなたの出身と応募先で変わります。
早見表|自分がどれに当てはまるかを先に決める
9通りあります。全部読む必要はありません。自分に当てはまるカードだけを開いてください。カードに書いてあるのは、そこでいちばん多い失敗です。
出身で1つ、応募先で1つ、業種で1つ。3つとも当てはまる人は3つ開きます(例:機械系の出身で、車載メーカーを受ける)。③接続は出身から、④-aは業種から、④-bは応募先から材料を取ってください。5要素の枠は変わらないので、入れる材料が増えるだけです。
出身機械・電気系✗「なぜソフトへ」が前職の否定に読める
出身Web・業務系✗ 同じソフトなのに「なぜ組込みか」が抜ける
応募先メーカー・子会社✗ 製品名が入っておらず、他社にも出せる文になる
応募先技術派遣・SES✗ 派遣会社の説明文をそのまま返してしまう
応募先SIer・受託開発✗ メーカー向けの文の使い回しに見える
業種車載・自動車✗ 車載の現実(規模・期間・規格)を知らないまま書く
業種IoT・スマート家電✗「便利で身近だから」で止まる
業種ロボット・FA✗「ロボットが好き」で終わる
文系から組込みエンジニアを志望する
文系学部の出身で「なぜ理系ではないのに」と聞かれるのが不安な人向けです。
文系が「なぜ組込みか」を拾える5つの場所
志望動機の最初の1文は「なぜ組込みエンジニアなのか」です。ここが弱いと、あとに何を書いても「なんとなくIT業界を選んだ人」に見えます。文系はこの1文を学歴から引けないので、別の場所から材料を拾います。
拾える場所は5つあります。
- 使っていた製品・サービスに感心して、作る側に回りたくなった仕事や生活で、特定の機器やサービスに助けられた経験がある人
- 既存のツールでは解決できない課題に当たった仕事の現場で「これは今ある道具では無理だ」と感じたことがある人
- 独学でやってみたら、モノを作る面白さがあったすでに手を動かし始めている人。文系では最も確実な材料
- 専攻の考え方と、プログラムの組み立て方が同じだと気づいた法学・経済学など、条文や理屈を構造で追う訓練を受けてきた人
- 使う人の側から見た不便を、設計する側で直したい接客・営業・事務など、製品を「使わされる側」で見てきた人
4は分かりにくいので補足します。法学なら条文の条件分岐を追う訓練、経済学なら数式でモデルを組み立てる訓練を受けています。プログラムの条件分岐やデータ構造は、対象が違うだけで同じ作業です。専攻を「畑違い」と切り捨てず、考え方が重なる部分を探してください。
1つ選んで、いつ、何があって、そう思ったのかを出来事が浮かぶ形で書いてください。文系の場合、組込みとの出会いは必ず社会に出た後(または大学に入った後)にあります。その時期がはっきりしているほど、思いつきの転職ではないと伝わります。
文系のエンジニア志望で最も多い書き方ですが、これだけだと「スキルを身に付けたら転職するのでは」と読まれます。同じことを書くなら「何を作れるようになって、その先で何をしたいのか」まで下ろしてください。
「ソフトの中でもなぜ組込みか」まで下ろす
5つの起点だけだと、まだIT全般の志望動機です。文系の応募者が一番落としやすいのがここで、Webでもアプリでもなく組込みを選んだ理由が抜けます。面接官から見ると「なんとなくIT業界を受けている人」と区別がつきません。
組込みを選ぶ理由として使えるのは、次の4つです。
1. 自分の書いたソフトが、物として世に出る
サービスは終了すれば消えますが、出荷した製品は物として残り、10年動きます。試作品が初めて動いた瞬間や、担当した製品が店頭に並ぶところを見られるのは、組込みの特徴としてよく挙げられる点です。
2. 人の生活や安全を、直接支える側に回る
医療機器、自動車の安全装置、インフラ設備。組込みソフトが止まると、人の生命や生活に直接影響が出ます。「誰の役に立っているのか分からない」という感覚から抜けたい人は、ここを動機の中心に置けます。
3. 画面の中で完結しない
センサーが値を返し、モーターが回り、LEDが光る。動いたかどうかが目で見えます。この感覚は、マイコンを1枚買えば実際に体験できます。書く前に体験しておいてください。
4. どの分野の物を作りたいかまで決めている
組込みは家電、自動車、医療、産業機器と分野が広く、分野ごとに求められる知識も開発の進め方も違います。「この分野の物を作りたい」まで書けると、応募先を選んだ理由と自然につながります。分野ごとの動機の書き方は、車載・自動車、IoT・スマート家電、ロボット・FAの記事に分けています。
文系向けの作例(置き換えるところつき)
実際の文章の形を出します。これは私の体験ではなく、文系の方が使うための作例です。私は工学部の出身なので、文系として応募した経験は持っていません。型は私が50社に出したものと同じ5要素で組んでいます。
③には、前職で何をしてきたかを1つだけ入れます。ここは強みを語る欄ではなく、①で書いた動機が思いつきではないことを裏づける欄です。長く書くほど志望動機がぼやけるので、事実を1つに絞ってください。
- ① 結論
- 製品の仕組みそのものを作る側に回りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では産業機器メーカーの法人営業を4年担当し、お客様の現場で機器の不具合や使いにくさの相談を受けてきました。要望を開発部門へ渡すたびに、製品の動きを決めているのは内部のソフトなのだと分かり、自分がその側で作りたいと考えるようになりました。半年前からC言語の学習を始め、マイコンボードでセンサーの値に応じて動きを変えるプログラムを作っています。
- ③ 接続
- 現場で聞いた不具合の状況を整理し、再現条件として開発部門へ渡す仕事を4年続けてきました。事象から原因の範囲を絞る進め方は、組込みの解析でも同じだと理解しています。
- ④-a 業界
- 産業機器は、使う人が毎日その動作に合わせて仕事をしている製品です。現場の困りごとを聞いてきた立場として、動きを決める側から関わりたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社は◯◯分野の機器を自社で開発されており、求人票にある△△の工程は、前職で私が現場の課題を最も多く聞いてきた領域です。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンの理解を業務レベルまで引き上げ、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
- ① 結論
- 決められた条件どおりに正確に動くものを、自分で組み立てる仕事がしたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 大学では法学を専攻し、前職では契約書の確認と管理を3年担当してきました。条文の条件分岐を追う作業を続けるうちに、独学で始めたプログラミングの条件分岐がほとんど同じ考え方でできていることに気づきました。今はマイコンボードを買い、温度センサーの値がしきい値を超えたらブザーを鳴らすところまで自分で書いています。実際に物が動いたときに、この仕事をやりたいと決めました。
- ③ 接続
- 契約書の確認では、条件の抜けや矛盾を見つけて指摘する作業を毎日していました。仕様の抜けを設計の段階で見つける作業と近いと考えています。
- ④-a 業界
- 中でも、止まると人の生活に影響が出る製品の分野に関心があります。正確さが求められる領域で仕事をしたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社は◯◯分野の製品を長く手がけられており、募集要項にある△△の工程に関わりたいと考えました。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンのデータシートを読めるようにし、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
置き換えるのは②③④です。②には自分の職種と年数、組込みを知ったきっかけ、いま自分でやっていることを入れてください。③には前職の事実を1つ。④は応募先の製品名と、求人票に書いてある担当工程を入れます。①と⑤はほぼそのままでも通ります。
④は業界(④-a)と企業(④-b)で分けて書きます。別の会社に出すときは④-bを差し替えるだけで済み、別の業界に出すときは④-aから作り直します。この分け方の理由は元記事の使い回しの章にあります。
型そのものの解説と、5要素をどう埋めるかは組込みエンジニアの志望動機の作り方に書いています。
文系がやりがちなNGと、その直し方
文系の応募書類で手応えが悪くなりやすい書き方を挙げます。どれも動機の書き方で損をしているものです。
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 手に職をつけたいと思いました | 身につけたら辞めるのでは、と読まれる。組込みである理由も無い |
| IT業界は将来性があると思いました | 誰でも書ける一般論。自分の話になっていない |
| 文系ですが、人一倍努力します | 不利を自分から強調しているだけで、志望の理由が書かれていない |
| 研修制度が充実しているので学ばせていただきたい | 学習の主体が会社になっている。自分で始めた事実が無い |
| プログラミングスクールで学んだので大丈夫です | 学んだ事実より、何を作ったかが問われる |
| ものづくりが好きです | 全員が書く。何を作りたいのかまで下ろせていない |
最後の2行は、「ソフトの中でもなぜ組込みか」が抜けたときに出てくる書き方です。1つ、直し方を並べて見せます。
文系出身ですが、手に職をつけたいと考えIT業界を志望しました。ものづくりが好きで、将来性のある分野で長く働きたいと思っています。
前職では店舗で使う機器が止まるたびに手作業に戻る様子を見てきました。動きを決めているのが内部のソフトだと知り、その側を作りたいと考えました。画面の中で完結せず、物が実際に動くところまで自分の担当になる点が組込みを選んだ理由です。半年前からC言語を学び、マイコンで小さな装置を1つ作りました。
違いは、いつ何があったかが入っていることと、ITの中で組込みを選んだ理由が書かれていることです。文系であることを謝る必要はありません。
機械・電気系から組込みエンジニアを志望する
設計・評価・生産技術など、ハード側から移る人向けです。
ハードからソフトへ移る理由は、この4つから選ぶ
私の筋は、使える理由のうちの1つでしかありません。機械・電気系の転職で実際に通っている志望理由は、大きく4つに整理できます。
- 製品の動きを決めているのはソフト。そのソフトを作りたいハードは仕上げたのに、性能や使い勝手が制御側で決まる場面を見てきた人
- 製品開発そのものに腰を据えたい評価・生産技術・保全など、開発の外側から製品に関わってきた人
- 製品の性能・安全性・環境性能に、もっと広い範囲で関わりたい担当部位が決まっていて、製品全体の性能に手が届かなかった人
- ものづくりの現場で働き続けたいいまの職場がものづくりから離れつつある人、間接部門に移った人
4つとも、何を作るか・何に貢献するかで書かれている点に注目してください。「制御を自分で書けるようになりたい」「スキルを伸ばしたい」は自分本位に読まれます。会社が得るものが書かれていないからです。
同じことを言うなら「製品の動きを決めるソフトを作りたい」に置き換えてください。主語が自分の成長から製品に移るだけで、志望動機として成立します。
例文集(職種別3パターン・新卒・添削)
ここからが本題です。自分の職種に近いものを選んで、名詞と年数を入れ替えてください。いずれも私が実際に出した文章そのものではなく、職種ごとに組み直した作例です。型はどれも同じ5要素で、④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2段になっています。
パターン1:機械設計から
- ① 結論
- 図面で決めた形を実際に動かしているソフトを作りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では機械設計を5年担当し、コストと強度の制約の中で仕様を成立させてきました。近年は担当製品でも性能を決めているのが制御側になり、図面だけでは製品の完成度に届かないと感じる場面が増えています。動きを決めているソフトの側を自分が作りたいと考え、転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を動かす装置を1つ作りました。
- ③ 接続
- 限られた条件の中で成立させるという考え方は、メモリや処理速度に制約のある組込みでも同じだと考えています。図面の意図を読む力も、仕様書を読むときにそのまま使えるはずです。
- ④-a 業界
- ◯◯の分野は、機構とソフトの両方で性能が決まる領域だと理解しており、ハードが分かる強みを活かせると考えています。
- ④-b 企業
- 貴社の◇◇は、前職で構造を検討する際に比較対象として何度も調べた製品です。求人票にある△△の工程は、その動きを決める部分だと理解しています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
置き換えるのは②③④。②で「図面だけでは届かない」と書けるかどうかで読まれ方が変わります。設計をやりきったうえで足りない部分を取りにいく、という順にすると前職の否定になりません。
パターン2:評価・品質から
- ① 結論
- 不具合を見つける側から、不具合が起きないものを作る側へ回りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では製品の評価と不具合解析を4年担当し、試験項目の設計から報告までを一貫して行ってきました。原因を追ううちに、製品の挙動を決めているのが制御側の作り込みだと分かり、開発の外側から確認する立場ではなく、作る側で製品開発に関わりたいと考えるようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンで小さな装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 故障したときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、対象がハードからソフトへ変わっても使えると考えています。試験項目を自分で設計してきた経験も、組込みのテスト設計で活かせるはずです。
- ④-a 業界
- ◯◯の分野は、市場で不具合が出たときの影響が大きく、作る段階の検証に価値がある領域だと理解しています。
- ④-b 企業
- 貴社はその分野の製品を自社で開発されており、求人票にある△△の工程は、品質を左右する部分だと理解しています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語と担当製品の理解に集中し、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
評価・品質の出身は、組込みとの距離が一番近い職種です。テスト設計と不具合解析は組込みでも業務の大きな割合を占めるので、そこは言い換えずにそのまま書いて構いません。
パターン3:生産技術・電気設計から
- ① 結論
- 設備を動かす側から、動きを決めるソフトを作る側に回りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では生産技術として搬送設備の立ち上げを4年担当し、センサーの取り付け位置や動作条件を詰める作業を続けてきました。設備が止まる原因の多くが、想定していなかった条件への対応不足だと分かってきたころから、動作を決めているプログラムの側を自分で作りたいと考えるようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンで小さな装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- センサーの値をどう扱えば意図した動きになるかを現場で詰めてきた経験は、制御のロジックを組む場面でそのまま使えると考えています。回路図を読めることも、ハードの仕様を理解するうえで強みになるはずです。
- ④-a 業界
- ◯◯の分野は、現場の条件に合わせた作り込みが製品の使い勝手を決める領域だと理解しており、そこに関わりたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社はその分野の装置を手がけられており、求人票にある△△の工程は、私が現場で最も多く不具合を見てきた部分に近い領域です。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
生産技術と電気設計は、センサーやアクチュエータを実際に触ってきたのが強みです。②と③でその具体を出すと、制御の話に自然につながります。
パターン4:機電系の学生(新卒)
中途の3本は前職が前提なので、学生向けの形も出します。
- ① 結論
- 機械と電気の知識を持ったまま、製品を動かすソフトを作りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 機械工学科で制御工学と電子回路を学び、研究室では測定装置を組んでデータを取る作業を続けてきました。装置の動きを決めているのがマイコン側のプログラムだと分かってから、自分がその部分を作りたいと考えるようになりました。講義で触れたC言語を学び直し、マイコンでセンサーの値から動きを変えるプログラムを自作しています。
- ③ 接続
- 研究で測定系の不具合を切り分けてきた経験は、不具合の解析が多くを占める組込みの開発でも活かせると考えています。
- ④-a 業界
- 機械と電気の知識をそのまま使える分野で働きたいと考え、◯◯の領域を志望しています。
- ④-b 企業
- 貴社はその領域の製品を自社で開発されており、募集要項にある△△の工程に関わりたいと考えました。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。将来はハードとソフトの両方が分かるエンジニアを目指します。
②には学科と研究テーマ、組込みに関心を持った出来事を入れてください。③は研究で困って解決した話を1つ書けば足ります。
パターン5:ありがちな1通を添削してみる
ハード出身の方が最初に書きがちな文章を直します。持っている材料を出し切るだけで変わります。
機械設計を5年経験しましたが、今後はソフトウェアの知識がないと生き残れないと感じ、組込みエンジニアを志望しました。ハードの知識が活かせると考えています。未経験ですが、一日も早く戦力になれるよう努力いたします。
問題は2つあります。「生き残れない」が前職の否定に読めること、そして「ハードの知識が活かせる」の中身が空で、翻訳を読み手に投げていることです。同じ人が同じ経歴で書き直すと、こうなります。
- ① 結論
- 図面で決めた形を実際に動かしているソフトを作りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 機械設計として5年間、コストと強度の制約の中で仕様を成立させてきました。近年は担当製品でも性能を決めているのが制御側になり、動きを決めるソフトの側を自分が作りたいと考えるようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンで小さな装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 限られた条件の中で成立させるという考え方は、メモリや処理速度に制約のある組込みでも同じだと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社の◇◇は、前職で構造を検討する際に比較対象として調べた製品です。求人票にある△△の工程に関わりたいと考えました。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
足したのは熱意ではなく情報です。前職の年数と担当(機械設計5年・コストと強度の制約)、気づいたきっかけ(性能を決めているのが制御側になった)、自分で終わらせたこと(C言語と装置1つ)。そして応募先の製品名と担当工程、入社後の第一歩です。
そして「生き残れないから」を「動きを決めるソフトを作りたい」に変えると、前職の否定が消えます。危機感ではなく、作りたいもので書く。ここが一番大きい違いです。
ハード出身がやりがちなNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか | 足すもの |
|---|---|---|
| 制御を自分で書けるようになりたいです | 自分の成長の話で終わっている。会社が得るものが書かれていない | 何を作りたいのかへの言い換え(4つの理由) |
| ソフトのほうが将来性があると思ったので | 前職の否定。同じ理由でうちも辞めると読まれる | 続けるために足りない側を取りにいくという筋 |
| 機械では自分の市場価値が上がらないと感じた | 自分の得だけの話で、会社側の得が書かれていない | その力で何に貢献するか |
| ハードの知識が活かせると思いました | どう活かすのかが無い。翻訳を読み手に投げている | 組込みのどの場面で使うかの1文 |
| 前職では設計を10年やってきました(前職の説明が長い) | 経歴書と同じ内容の繰り返し。志望動機の欄で読む必要がない | 組込みへの接続。前職の説明は2〜3文まで |
Web・業務系から組込みエンジニアを志望する
情報系の学部やIT職から、同じソフトでも組込みへ移る人向けです。
「なぜ組込みか」は、2つの希望が重なる場所にある
転職の志望動機は、応募者の希望が1つだと弱くなります。物を作りたいだけなら、機械設計にも生産技術にも行けます。ソフトを書き続けたいだけなら、いまの会社にいればいい。面接官が納得するのは、その人にとって他の選択肢では埋まらない場所にいるときです。
物として残るものを作りたい。けれど、これまで書いてきたソフトの経験も手放したくない。この両方を満たす職種が組込みだった。──志望動機の①に書くのは、この一文で足ります。
経験を捨てないことと、製品に近づくこと。この2つが1文に入っていれば、①はそれで完成です。逆に、片方だけを書いた志望動機は弱く読まれます。
| 書いた内容 | 面接官が思うこと |
|---|---|
| 物を作る仕事がしたい | それなら機械でもいい。なぜソフトなのか |
| これまでの言語経験を活かしたい | それなら転職しなくていい。なぜ組込みなのか |
| 物を作りたい、かつソフトで作りたい | 組込み以外に選択肢がない。理屈が通っている |
ここから先の章は、この2つをそれぞれ面接で掘られても崩れない具体度まで下ろしていく作業です。
例文3パターン(置き換えるところつき)
文章の形にします。これは私の体験ではなく、ソフト経験者の方が使うための作例。型は私が50社に出したものと同じ5要素です。各要素の意味と埋め方は組込みエンジニアの志望動機の作り方にあります。
- ① 結論
- 自分の書いたソフトが製品として形になり、人の生活の中で動く仕事がしたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職ではWebアプリケーションのバックエンド開発を3年担当してきました。サービスは公開して終わりではなく改善を続けられる一方で、自分の書いたコードが最終的に何になったのかが手元に残りません。物として残るものを作りたいという気持ちが強くなりましたが、ソフトウェアを書く仕事そのものは続けたいと考えていました。その両方が成立するのが組込みだと知り、個人でマイコンボードを購入して、センサーの値を一定周期で読み、しきい値を超えたら動作を変えるプログラムを書いています。
- ③ 接続
- 直近はレスポンス改善のために処理時間とメモリ使用量を削る作業を担当していました。限られた資源の中で成立させるという考え方は、組込みでも同じように使えると考えています。
- ④-a 業界
- 中でも家電は、家族が毎日触る物の中で自分の書いたソフトが動く分野だと考えており、生活に近い製品を手がけたいと思っています。
- ④-b 企業
- 貴社の◯◯シリーズは△△の機能で選ばれている製品だと理解しており、募集要項にある□□の開発に関わりたいと考えました。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンのデータシートを読めるようにし、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
- ① 結論
- 目の前にある装置そのものを動かすソフトを書きたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では製造業向けの生産管理システムの開発を4年担当し、工場へ導入の立ち会いに行く機会が何度かありました。そこで動いていたのは私が作った画面ではなく、装置そのものです。実際に物を動かしている側のソフトを書きたいと考えるようになりました。一方で、要件を整理して設計に落とす仕事の進め方は続けたいと考えています。現在はマイコンボードでモーターを動かすところから独学を始めています。
- ③ 接続
- 顧客の現場で発生した不具合を、ログと再現手順から切り分けてきた経験があります。実機の挙動から原因を絞る作業は、組込みでも中心になる仕事だと理解しています。
- ④-a 業界
- 産業機器は、人手不足が課題になっている製造現場の生産性に直接つながる分野です。導入の現場を見てきた立場として、装置を作る側から関わりたいと考えました。
- ④-b 企業
- 貴社は◯◯の分野で△△を強みとされており、募集要項にある□□の制御開発に関心があります。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまず担当装置の制御仕様とデータシートを読めるようにし、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
- ① 結論
- 画面の中で完結しない、物が実際に動くソフトを書きたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 情報工学科でWebアプリの制作を中心に学んできましたが、演習でマイコンを扱ったとき、使えるメモリと処理時間が決まっている中で動かす難しさに惹かれました。その後は個人でマイコンボードを買い、一定の周期でセンサーの値を読んで動きを変えるプログラムを書いています。
- ③ 接続
- 制作物の動作が重くなった原因を調べて処理を削った経験があり、資源に制約のある環境でも同じ考え方が使えると思っています。
- ④-a 業界
- 決められた時間内に処理を終わらせることが求められる◯◯の分野で、ソフトを書く側に立ちたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社はその分野の製品を手がけられており、募集要項にある△△の工程は製品の応答性を左右する部分だと理解しています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とデータシートを読めるようにし、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
置き換えるのは②③④です。②には自分の職種と年数、組込みへ向かったきっかけ、いま自分でやっていることを入れてください。①と⑤はそのままでも通ります。
④は業界(④-a)と企業(④-b)で分けて書きます。別の会社に出すときも④-bを差し替えるだけで済み、別の業界に出すときは④-aから作り直します。この分け方の理由は元記事の使い回しの章に書いています。
ソフト経験者がやりがちなNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 低レイヤに興味があります | 興味の表明だけ。なぜ興味を持ったのかと、何をしたのかが無い |
| スキルの幅を広げたいです | 自分本位。会社が何を得るのかが書かれていない |
| 上流から下流まで幅広く経験したいです | どの会社にも出せる文章。組込みでなくてもよい理由になっている |
| Webは競合が多いので、組込みのほうが希少価値が高いと思いました | 自分の得だけの話。製品への関心が無いと読まれる |
| モダンな開発環境で開発したいです | 組込みの現場と前提が合っていない。すぐ辞めると警戒される |
| これまでの言語経験を活かせると思いました | 経験を活かすだけなら転職しなくていい。物を作りたい側が抜けている |
一番惜しいのは1行目です。興味があること自体はいいので、そのあとに何をしたかを足すだけで読める文章になります。マイコンボードを買って動かした、データシートを読んでみた、割り込み処理を試した。この事実が1つあるかないかで、志望動機の説得力が大きく変わります。
2行目も要注意です。「スキルを伸ばしたい」「学ばせてほしい」は自分本位に読まれます。学ぶ話を書くなら、入社後の欄で「何を学んで、その先に何をするか」まで書いてください。
メーカー・メーカー子会社に出す志望動機
自社製品を持つ会社に出す場合です。「その製品でなければならない理由」が要ります。
メーカーを志望する理由は、この5つから選ぶ
メーカーの選考では「なぜ受託や派遣ではなく、自社製品を持つ会社なのか」を聞かれます。ここで「安定しているから」「大手だから」と答えると終わりです。自社開発を選ぶ理由として挙げられているのは、次の5つです。
- 一つの製品に長く関わり、企画の段階から手を入れたい前職で、決まった仕様を受け取るだけの立場に物足りなさがあった人
- 自分が手を動かした製品の評価を、直接受け取りたい使う人の反応が届かない仕事をしてきた人
- 製品の出来が、自分の評価として返ってくる環境で働きたい成果と評価がつながる働き方を求めている人
- 開発だけでなく、企画や営業の側とも関わって製品を作りたい前職で他部署と組んで物事を進めてきた人
- 自社製品の開発に、腰を据えて従事したい短い案件を渡り歩く働き方ではなく、深く関わりたい人
1から3は、受託や派遣では成立しにくい理由です。決められた範囲を請け負う働き方では、企画から関わることも、製品の評価が自分に返ってくることも起きにくい。だから「メーカーでなければならない」の答えになります。
5つはどれも「自社製品を持つ会社」を選んだ理由であって、その会社を選んだ理由ではありません。メーカーで評価が分かれるのはそこです。次の章で、その会社でなければならない理由の作り方を出します。
「その製品でなければならない理由」の作り方
メーカーの志望動機で評価が分かれるのは、ほぼ1点です。その会社の製品を名指しできているか。
自社製品を持っている会社は、製品への思い入れを見ます。「技術力が高いから」「安定しているから」は、同業他社にもそのまま出せる文章なので、企業研究をしていないと判断されます。私は企業ごとの志望理由を、次の順で後付けで作っていました。
製品ページから、自分が触れたことのあるものを探す
会社案内や沿革で、業界での強みやシェアを確認する
担当業務欄を読み、その製品のどの工程を任されるか確認する
前職の経験や関心と、①③を1文でつなぐ
正直に書くと、これは本心から湧いてきた理由ではありません。応募企業のWebサイトを開いて、何を作っている会社か、どんな強みがあるかをひたすら見て、そこから逆算して作りました。
ただ、それでいいと思っています。その企業でないとダメな理由なんて、よほどの縁がない限り最初からある人のほうが少ない。後付けを恥ずかしがるより、後付けの精度を上げるほうが早いです。
見落とされがちなのが③です。会社への憧れだけを書いて、担当する工程の話が抜けている書類は「求人を読んでいないな」と伝わります。
メーカー向けの作例(置き換えるところつき)
形にすると、こうなります。私が実際に出した文章そのものではなく、メーカー応募のために組み直した作例です。型は私が50社に使ったものと同じ5要素です。
- ① 結論
- 製品の動きを決める側に立ちたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では機械部品の評価と不具合解析を4年担当し、製品の性能を左右しているのが制御側の作り込みだと感じる場面が増えました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を自動制御する装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 不具合が起きたときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、対象がハードからソフトへ変わっても使えると考えています。
- ④-a 業界
- 前職で扱ってきた◯◯の分野は、製品の性能を制御側が決める場面が多く、その領域で作る側に立ちたいと考えています。
- ④-b 企業
- なかでも貴社の◇◇は、前職で仕様を検討する際に比較対象として何度も調べた製品です。求人票にある△△の工程は、その製品の使い勝手を決める部分だと理解しています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語と担当製品の理解に集中し、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。将来は不具合の解析から修正まで任せてもらえるエンジニアを目指します。
置き換えるのは②③④です。④-bに固有名詞が入っているかだけは必ず確認してください。ここが空欄のような文章だと、メーカーでは特に読まれません。
なお④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層です。この記事が扱うのは④-bで、④-aの書き方は業種ごとの記事に分けています。
メーカーでよくあるNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 安定した経営基盤に魅力を感じました | 職種にも業界にも関係ない。志望企業を調べていないと映る |
| 貴社の技術力の高さに惹かれました | 同業他社にもそのまま出せる。何の技術かが無い |
| 身近な製品を作っているので興味を持ちました | 消費者の目線で止まっている。作る側の話になっていない |
| 大手で腰を据えて働きたいです | 働き方の希望であって、志望の動機ではない |
| 幅広い製品に携われそうだと思いました | 自社製品を持つ会社への理由として弱い。むしろSIer向けの動機 |
違いは熱意ではありません。固有名詞と、担当工程への言及があるかどうかです。
技術派遣・SESに出す志望動機
未経験の入口として現実的な選択肢です。「なぜ派遣か」に答える必要があります。
「なぜ派遣か」に使える7つの理由
聞かれているのは「SIerや自社開発ではなく、なぜSESなのか」です。メリットとデメリットの両方を分かったうえで選んだ、という形にします。
技術派遣という働き方の利点は、次の7つに整理できます。
- 知識や経験が少なくても仕事に就きやすい未経験で、とにかく早く実務に入りたい人(そのまま書くと落ちる。変換が必要)
- 幅広い知識やスキルが身につく1社の中だけで完結するやり方に不安がある人
- 自分のキャリアビジョンに応じた働き方ができる将来やりたい領域が決まっていて、そこへ近づく順番を考えている人
- 大きなプロジェクトにも関わりやすい前職の規模が小さく、大規模開発の進め方を経験したい人
- 人脈が広がりやすい社外の技術者とのつながりを仕事に使ってきた人
- キャリアアップを目指しやすい将来プロジェクトマネージャーや特定分野の専門家を目指している人
- 案件が合わなかったときに調整してもらえる前職で配属のミスマッチを経験している人
7つ全部を書かないでください。1つ、多くて2つに絞って、自分の経歴とつなげます。並べるほど印象が薄くなります。
7番目の落とし穴と、1番目の変換のしかた
7の「案件が合わなかったときに調整してもらえる」は、SESの構造上の利点です。雇用は派遣元との間にあるので、現場が変わっても職を失いません。ただし志望動機に書くときは、合わなかったときの保険としてではなく「合う領域を見つけて長く関わりたい」という向きで書いてください。前者のまま書くと、辞める前提の人に読まれます。
問題は1です。「未経験でも入りやすいから」は事実ですが、そのまま書くと志望動機になりません。自分の都合であって、会社が採用する理由になっていないからです。給料や条件を動機にするのと同じ扱いになります。
この理由を使うなら、仕事の性質に変換します。
未経験可の求人だったため応募しました。研修制度が充実している点にも魅力を感じました。
組込みは、開発ツールの使い方もプロジェクト固有のルールも入社後に覚える範囲が広い仕事だと理解しています。独学を続けるより早く開発の現場に入って身につけたいと考え、案件に入る形で経験を積める働き方を選びました。
右側は嘘ではありません。組込みの実務は入社前に学びようがない部分が多く、早く現場に入ることには実際に意味があります。同じ「早く入りたい」でも、仕事の性質を理由にすると志望動機として成立します。
7つの理由だけでは足りない。会社を選んだ理由が要る
7つはどれも「SESという働き方」を選んだ理由であって、その会社を選んだ理由ではありません。ここで止めると「それ、他の派遣会社でもよくない?」と読まれます。
組込みに特化した派遣会社なら、扱う案件の分野が偏っています。求人票や実績ページから領域を読み取って、その領域に関わりたいと書いてください。会社を選んだ理由としては、ここが最も具体的に書けます。
SES向けの作例(置き換えるところつき)
文章の形にすると、こうなります。私が実際に出したものではなく、SES応募のために組み直した作例です。型は私が50社に使ったものと同じ5要素です。
- ① 結論
- 製品の動きを作る側に回りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では製造現場で設備の保全を4年担当し、機器が止まる原因を追ううちに、動作を決めているプログラム側に関心を持つようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を動かす装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 設備が止まったときに原因を切り分けて対処してきた経験は、不具合の解析が業務の多くを占める組込みでも活かせると考えています。
- ④-a 業界
- ◯◯分野の製品開発に関わりたいと考えており、貴社はその領域の案件を専門に扱われています。
- ④-b 企業
- 組込みは入社後に覚える範囲が広い仕事だと理解しており、学習を続けるより早く開発の現場に入って身につけたいと考えました。複数の現場を見られる働き方は、その考えに合っています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまず担当する案件の製品仕様とC言語の実務レベルへの引き上げに集中し、3年後には一人で機能を任せてもらえる状態を目指します。
- ① 結論
- 人の安全に関わる製品のソフトを作りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では医療機器の営業を5年担当し、機器が現場でどう使われ、止まったときに何が起きるかを見てきました。使う側から見ていた製品の中身を作る側に回りたいと考え、C言語の基礎を終え、マイコンでセンサーの値を一定周期で読む装置を作っています。
- ③ 接続
- 現場で発生した不具合を聞き取り、再現条件を整理して開発部門へ渡す仕事をしてきました。事象から原因の範囲を絞る進め方は、組込みの解析でも同じだと理解しています。
- ④-a 業界
- 医療機器や産業機器のように、止まると人に影響が出る製品の開発に関わりたいと考えています。
- ④-b 企業
- こうした製品は、開発体制が大きく、工程ごとに専門が分かれた現場で作られています。貴社は◯◯分野の案件を継続して受けられており、規模の大きい開発の中で工程ごとの進め方を身につけたいと考えました。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまず担当工程の仕様と検証手順を理解し、3年後には安全に関わる機能の設計から検証までを任せてもらえる状態を目指します。
置き換えるのは②③④です。④-aのその会社の領域だけは応募先ごとに差し替えてください。ここが空欄同然だと、どの派遣会社にも出せる文章になります。
④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの働き方・この会社か(④-b)」の2階層です。この記事が扱うのは④-bで、④-aの書き方は業種ごとの記事に分けています。
SESでよくあるNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 幅広い経験を積みたいです | SESの説明文をそのまま返しているだけ。どの会社にも出せる |
| 未経験可と書かれていたので応募しました | 条件で選んだと明言している。志望の理由になっていない |
| 研修制度が充実しているので学ばせていただきたい | 学習の主体が会社になっている。自分で始めた事実が無い |
| いずれはメーカーで働きたいです | 正直だが、そのまま書くと辞める前提の人と読まれる |
| 経験が浅く至らない点も多いと思いますが | 謙遜が強すぎて、採用する理由を渡せていない |
1行目は7つの理由の2番をそのまま書いた形です。理由としては正しいのですが、これだけだと派遣会社の説明文を返しているだけになります。幅広い経験を積んで、その先に何をしたいのかまで書いて初めて志望動機になります。
4行目は補足が要ります。将来メーカーへ移りたいという気持ち自体は珍しくありませんが、志望動機の欄に書く内容ではありません。書くなら「この会社で何を身につけるか」に変換してください。
様々な現場を経験できる点に魅力を感じました。将来的にはメーカーで製品開発に携わりたいと考えています。
複数の現場で開発の進め方を見たうえで、自分が長く関わる製品領域を決めたいと考えています。貴社は◯◯分野の案件を継続して受けられており、その領域で腰を据えて経験を積みたいと考えました。
右側は、内容としては同じ「いろいろ見たい」です。違うのは見た先に何をするかが書かれている点と、その会社で続ける前提になっている点です。
SIer・受託開発に出す志望動機
請け負う側を選ぶ理由が要ります。「なぜメーカーではなく受託か」に答えます。
SIer・受託を志望する理由は、この5つから選ぶ
「なぜメーカーではなく受託か」に答えるための材料です。SIerの志望動機として実際に評価されているのは、次の5つ。この中から自分の経歴に合うものを1つ選んでください。
- 多種多様なシステム開発を経験して、その先のキャリアを作りたい1製品だけを見続ける働き方に不安がある人
- 幅広い知識と経験を蓄えて、顧客に最適な提案をしたい提案や折衝を仕事の中心に置きたい人
- 複数業界を見たうえで、特定の業界に専門化していきたいまだ関わりたい領域を決めきれていない人。決め方まで書けると強い
- 顧客の現場の負担を、システムで直接減らしたい前職で現場の非効率を目の当たりにしてきた人
- 広く技術に触れながら、人と話して進める仕事がしたい1人で黙々と作るより、相手がいる仕事のほうが合う人
「複数業界を見たうえで専門化する」は、自社製品を持つメーカーでは書けません。受託を選ぶ理由として一番噛み合うのがこれです。「いまは決めきれていない」と正直に書いても弱くならず、むしろ決め方(どういう基準で選ぶつもりか)まで書けると、考えて応募した人だと伝わります。
SIer向けの作例(置き換えるところつき)
文章にすると、こうなります。私が実際に出したものではなく、受託開発への応募のために組み直した作例です。型は私が50社に使ったものと同じ5要素です。
- ① 結論
- 顧客の要求を製品の動きとして形にする仕事に関わりたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では産業機器メーカーで製品の評価を4年担当し、社内外からの要望を試験項目に落とす業務を任されてきました。求められている条件を読み取って形にする作業に手応えを感じ、その部分をソフト側から担いたいと考えるようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンで小さな装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 要望を受け取って項目に落とし、期日までに結果を出して報告するという進め方は、受託開発の仕事の流れと重なると考えています。
- ④-a 業界
- ◯◯分野の製品に、要求の段階から関わりたいと考えています。
- ④-b 企業
- 貴社はその分野の開発を複数のメーカーから請け負われており、1社の製品に限らず関われる点に惹かれました。求人票にある△△の工程は、私が前職で関わってきた部分に近い領域です。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。3年後には、要求仕様を読んで実装まで任せてもらえる状態を目指します。
置き換えるのは②③④です。④-bに「1社の製品に限らず」という受託ならではの理由を入れておくと、メーカー向けの文章の使い回しに見えません。
④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層です。この記事が扱うのは④-bで、④-aの書き方は業種ごとの記事に分けています。
SIerでよくあるNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 上流工程に携わりたいです | 未経験がいきなり上流に入る配属はほぼない。仕事の理解が浅いと読まれる |
| 幅広い製品に関われそうだと思いました | 会社の説明文をそのまま返している。自分の話になっていない |
| 貴社の製品に魅力を感じました | 自社製品を持たない会社に出すと、会社を調べていないと分かる |
| 大規模なプロジェクトに関わりたいです | 規模の希望であって、請け負う仕事を選ぶ理由になっていない |
| 技術力を高めてスキルアップしたいです | 自分の得だけの話で、顧客と会社側の得が書かれていない |
1行目は惜しい書き方です。上流に関心があること自体は悪くないので、時期を分けて書くと読める文章になります。
違いは、いまできることと、これからやりたいことを分けている点です。未経験の応募で上流の話を先に出すと足元が浮いて見えます。
車載・自動車に出す志望動機
筆者の本業の領域です。「車が好き」をそのまま出すと弱く見えます。
車載を志望する理由は、この5つから選ぶ
「車が好きだから」は、車載の志望動機で最も多い書き方です。好きなだけでは動機になりません。自動車業界の志望動機で実際に評価されているのは、次の5つです。この中から自分に当てはまるものを選んでください。
- 事故のない社会に貢献したい自分や身近な人が交通事故に関わった経験がある人、安全装置に助けられた経験がある人
- 変革期に関わりたい(CASE)つながる車、自動運転、シェア、電動化のどれかに具体的な関心がある人
- 環境負荷を下げる技術に関わりたい電動化やカーボンニュートラルを自分のテーマにしている人
- 1台のソフトが何十万人に影響するスケールで仕事がしたい前職で扱った製品の台数が少なく、影響範囲の大きい仕事をしたい人
- 走り・燃費・安全性という性能そのものを制御で作りたい機械・電気系で、性能を決める側に回りたい人
車に関わる自分の経験を、動詞で書き出してください。運転する、整備する、観戦する、選ぶ、貸す、直す。名詞(車が好き)ではなく動詞にすると、上の5つのどれに近いかが見えてきます。
たとえば「整備する」が出てきた人なら、故障の原因を追ってきた経験から5へつながります。「選ぶ」が出てきた人なら、安全装備を基準に選んだ話から1へつながります。
車載向けの作例(置き換えるところつき)
- ① 結論
- 不具合が人の安全に直結する製品のソフトを作りたいと考え、車載の組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では産業機器の評価を4年担当し、出荷後に不具合が出たときの回収と対応の重さを現場で見てきました。そのなかで、後から簡単に直せない製品ほど、作る段階の検証に価値があると考えるようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を自動制御する装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 不具合が起きたときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、検証の工程が長い車載の開発でも活かせると考えています。
- ④-a 業界
- 車載は出荷後に簡単には直せず、不具合が事故に直結する領域だと理解しています。その厳しさの中で作る側に立ちたいと考えました。開発がソフトウェアを中心に進む形へ変わっている点にも、いま関わる意味を感じています。
- ④-b 企業
- 貴社は◯◯の領域で車載向けの開発を手がけられており、求人票にある△△の工程は、車の挙動そのものに関わる部分だと理解しています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンの理解に加え、CANなど車載特有の技術を業務レベルまで引き上げたいと考えています。
これは私が実際に出した文章そのものではなく、車載応募のために組み直した作例です。置き換えるのは②③④で、④-bには応募先が扱っている領域と、求人票の担当工程を必ず入れてください。
④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層です。この記事が扱うのは④-aにあたる、車載を選んだ理由です。
車載でよくあるNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 車が好きなので志望しました | 車載志望者のほぼ全員が書く。仕事の中身に触れていない |
| 自動運転に興味があります | 興味の表明だけ。担当する工程と結びついていない |
| 大きな製品に関われるのが魅力です | 規模の話。なぜ車載なのかの答えになっていない |
| 好きな車種があり、その開発に携わりたいです | 消費者の目線のまま。部品を作る会社では特にずれる |
| 成長分野なので将来性があると思いました | 業界予測で、自分の話になっていない |
右側には、車が好きだという言葉が1つも入っていません。それでも車載を選んだ理由は伝わります。好きだという気持ちは、書かなくても仕事の理解から滲みます。
IoT・スマート家電に出す志望動機
身近なぶん「便利だから」で止まりやすい領域です。
IoT・家電を志望する理由は、この5つから選ぶ
「便利で身近だから」を使わないとすると、何を書くのか。電気・家電業界の志望動機で実際に評価されているのは、次の5つです。
- 人の暮らしを便利で快適にしたい(誰の、どの不便かを名指しで)家族や身近な人の困りごとを具体的に挙げられる人
- 生活の基盤を支えている製品の中身を作りたい止まると生活が回らない製品に関心がある人
- 自分や家族が毎日触る物に、自分の書いたソフトを入れたい成果物が手元に残る仕事をしたい人
- 家がつながることで生活が変わる、その入口を作りたいスマホからの操作や自動制御を自分で試したことがある人
- AIのような新しい技術を、量産品として成立させたい実験ではなく、値段と品質が決まった製品に載せる仕事がしたい人
4を選ぶなら、具体例まで出してください。スマートフォンから家中のスイッチを操作する、住んでいる人の好みに合わせて温度が自動で変わる。こういう「変わった後の生活」が書けると、製品への感想とは別物になります。
IoT・家電向けの作例(置き換えるところつき)
- ① 結論
- 生活の中の困りごとを、製品として解決する側に回りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- きっかけは、離れて暮らす家族の室温管理でした。温湿度センサーとマイコンを使い、危険な水準に近づいたら自動で冷房を入れる装置を作ったところ、実際に作動した記録が残り、機械で生活を助けられることを実感しました。作るなかで一番難しかったのは、人の操作を装置が上書きしないための条件づくりです。
- ③ 接続
- 前職では◯◯を担当し、想定外の使われ方を洗い出して対策を考える作業を続けてきました。誤動作を防ぐ条件を考える作業は、その延長にあると感じています。
- ④-a 業界
- 生活の中の困りごとを製品で解決する領域に関わりたいと考えています。自分で作った装置が実際に家族の役に立ったことが、その理由です。
- ④-b 企業
- 貴社は△△といった生活家電を手がけられており、求人票にある□□の工程は、使う人の手間を減らす部分に直接関わると理解しています。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンの理解を業務レベルへ引き上げ、将来は生活の課題から機能を提案できるエンジニアになりたいと考えています。
これは作例です。②には自分が作ったもの、③には前職の経験、④-bには応募先の製品と担当工程を入れてください。④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層で、この記事が扱うのは④-aにあたる、IoT・家電を選んだ理由です。②が空欄になる場合は、先に何か1つ作ることを勧めます。この領域では、それが一番早い近道です。
IoTでよくあるNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| 便利な製品を作りたいです | 誰でも書ける。何が不便で、何を便利にするのかが無い |
| 身近な家電に携われるのが魅力です | 消費者の目線のまま。作る側の話になっていない |
| IoTはこれから伸びる分野だと思いました | 業界予測で、自分の話になっていない |
| スマート家電を使っていて感動しました | 使用者の感想。開発への関心につながっていない |
| クラウド連携やアプリ開発にも興味があります | 組込みの求人でアプリ側を中心に書くと、応募職種とずれる |
右側には「便利」も「感動」も入っていません。それでも、この人が何を面白いと感じているかは伝わります。
ロボット・FAに出す志望動機
「ロボットが好き」から一段下ろす必要があります。
ロボット・FAを志望する理由は、この5つから選ぶ
「ロボットが好き」を使わないとすると、何を書くのか。この領域では、製品が解決している課題がはっきりしているので、そこから理由を取ります。
- 人手不足という社会課題を、技術で解決したい人が足りずに現場が回らなくなる場面を実際に見てきた人
- 省人化と生産性向上に、直接効果が出る物を作りたい改善活動で工数やタクトを詰めた経験がある人
- 人が創造的な仕事に集中できるようにしたい単純作業に時間を取られる現場を変えたいと思ってきた人
- 品質のばらつきを、機械で無くしたい検査・品質保証で、人によるばらつきに悩まされてきた人
- 精度そのものを制御で作りたい加工や組立の精度を追い込む仕事をしてきた人
1は、この業界の存在理由そのものです。日本の労働力人口はピークからおよそ15%減ると予測されており、製造・物流・建設などで人手不足が深刻になっています(参考:KOTORA JOURNAL「人手不足解消の鍵?産業用ロボットが実現する働き方改革」)。協働ロボットが伸びている第一の背景がここにあります。
2から5は、その課題に対して機械が実際に出している効果です。導入する側が何を期待して買うのかを、作る側として言えるかどうか。ここが書けていると、製品への興味だけで応募した人とは別に読まれます。
この5つは、導入する側の言葉です。製造現場や生産技術の経験がある人は、その現場で実際に何が起きていたかを1つ添えるだけで、他の応募者が書けない志望動機になります。「人が足りずに残業が常態化していた」「検査が人によってばらついていた」。事実が1つあれば十分です。
ロボット・FA向けの作例(置き換えるところつき)
- ① 結論
- 現場の作業を機械で置き換える側に回りたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
- ② 背景
- 前職では製造現場で設備の保全を4年担当し、搬送装置が止まるたびに原因を切り分けて復旧させてきました。止まる原因の多くが、想定していなかった条件への対応不足だと分かってきたころから、動作を決めているプログラムの側を自分で作りたいと考えるようになりました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を動かす装置を1つ作っています。
- ③ 接続
- 設備が想定外の状態になったときにどう動くべきかを考えてきた経験は、異常時の処理を作り込む制御ソフトの開発でも活かせると考えています。
- ④-a 業界
- 現場の作業を機械で置き換える領域に関わりたいと考えています。人手に頼らざるを得ない工程を前職で何度も見てきたことが理由です。
- ④-b 企業
- 貴社は◯◯向けの装置を手がけられており、求人票にある△△の工程は、現場で私が最も多く不具合を見てきた部分に近い領域です。
- ⑤ 入社後
- 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当する装置の制御ソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。そのうえで、現場で起きる異常への対応まで自分で作り込めるエンジニアを目指します。
これは作例です。私はFA・ロボットの実務経験を持っていないので、体験として書けるものではありません。置き換えるのは②③④で、②には自分が現場で見てきたことを具体的に入れてください。④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層で、この記事が扱うのは④-aにあたる、ロボット・FAを選んだ理由です。
FAでよくあるNGと直し方
| やりがちな書き方 | どう読まれるか |
|---|---|
| ロボットが好きで、以前から興味がありました | 趣味の話に見える。産業用の製品は課題解決の道具だという理解が伝わらない |
| 自動化はこれから伸びる分野だと思いました | 業界予測で、自分の話になっていない |
| 最先端の技術に携わりたいです | 何の技術かが無い。どの求人にも出せる文章 |
| 人の役に立つ製品を作りたいです | 抽象的すぎる。誰のどんな作業を楽にするのかが無い |
| 現場の経験があるので即戦力になれます | ソフトは未経験なので、そのまま書くと自己評価が高すぎると映る |
右側は、未経験であることを認めたうえで、現場を知っていることの価値だけを主張しています。この書き方なら自己評価が高すぎるとは読まれません。
新卒の就活で使うときに変わる2か所
ここまでは中途、つまり社会人の転職を前提に書いてきました。新卒の就活でも5要素の型はそのまま使えます。変わるのは2か所だけです。文章の形は新卒向けのフル例文を見てください。
1. ②の材料を、学生時代から取る
| 要素 | 中途の材料 | 新卒の材料 |
|---|---|---|
| ② 背景 | 前職の業務と、そこで感じたこと | 専攻、研究、ゼミ、制作物、アルバイト、インターン |
| ③ 接続 | 前職の実績を、組込みで使える力に翻訳する | 学んだ内容と作ったもの。ここは薄くてもいい |
| ⑤ 入社後 | 最初にやること+3〜5年後の姿 | 同じ。ただし新卒はここの具体性で差がつく |
新卒は「未経験を育てる前提」で採用されます。だから③の接続が弱くても、それだけで落ちることはありません。大学で学んだC言語、電子回路、制御、数学は、そのまま②と③の材料になります。専攻が組込みそのものでなくても構いません。
書く前に応募資格を見る
組込みの求人には、必須要件に「大学・大学院で理系学部・学科で学ばれた方」と書いてあるものがあります。私がdodaで組込みの求人を見た体感では、学部を指定しているのはメーカーが多くて全体の1〜2割程度で、SIerやSESはほぼ指定なしでした。ここを見落とすと、志望動機の出来と関係なく落ち続けて時間を失います。
組込み自体は、入職に特定の学歴や資格が必要とされる仕事ではありません。厚生労働省の職業情報サイトでも「入職にあたって特に学歴や資格は必要とされない」と整理されています(参考:職業情報提供サイト job tag「システムエンジニア(組込み、IoT)」)。要件は会社ごとの方針なので、求人票を1件ずつ見るしかありません。
よくある質問(FAQ)
ネットの例文をそのまま使ってもいいですか?
やめたほうがいいです。例文は他人の経歴で書かれているので、②の背景と③の接続が自分のものになりません。面接でその部分を掘られると答えられなくなります。この記事のそのまま差し込める言い回しのように、部品として使って中身を入れ替えてください。
何文字くらい書けばいいですか?
Web応募のフォームなら300〜400字、職務経歴書の中に書くなら400字前後を目安にしていました。5要素それぞれを1〜3文で書くと、だいたいこの範囲に収まります。長く書くより、④-aに業界を選んだ理由が、④-bに応募先の固有名詞が入っているかを優先してください。
新卒の就活でも同じ型で書けますか?
書けます。差し替えるのは②の背景で、前職の代わりに学業や研究、部活、アルバイトを入れてください。詳しくは新卒の就活で使うときに変わる2か所に、文章の形は新卒向けのフル例文にまとめました。
成果物がないと志望動機は弱いですか?
弱くなります。ただし作るのに何ヶ月もかかるものではありません。私はC言語の基礎を書籍とUdemyで2週間、その後1ヶ月で装置を1つ作りました。この程度でも②と⑤の具体性が変わります。時間がないなら、まず「学習を始めている事実」を書けるところまで進めてください。
何を作ればいいか決まっていないなら、当ブログのArduino 基礎ドリルで作れます。LEDを光らせるところから始めて、最後の総合演習では温湿度センサーと赤外線でエアコンを自動制御する装置を1つ仕上げます。②に「マイコンで◯◯する装置を作った」と書けるようになるのが目的です。C言語から始めたい場合はC言語 基礎ドリルが入口です。
志望動機に年収や条件の希望を書いていいですか?
志望動機の欄には書かないほうがいいです。条件は希望年収の欄や面接の場で伝えるものです。ちなみに私は未経験だったので、希望年収は400万円くらいと答え、350〜450万円に収まる覚悟でいました。
勤務地が近いことを志望動機に書いてもいいですか?
書けます。ただし「通いやすいから」だけでは弱いので、その土地に生活の基盤を置く理由まで添えてください。結婚や家族の事情でその地域に住み続けると決まっているなら、それは長く働ける根拠として読まれます。
まとめ
志望動機の作り方を、手順として並べ直します。
- ①結論→②背景→③接続→④業界と企業→⑤入社後、の5要素で組む
- ①から③は使い回せる。④は業界(④-a)と企業(④-b)の2階層で書き分ける
- ③は「実績→評価→任命」の流れで書き、対象が変わっても使える力として接続する
- ④は企業サイトの製品・沿革・技術・求人票の担当業務と勤務地から後付けで作る
- 勤務地を使うなら「近いから」で止めず、その土地に住み続ける理由まで書く
- 熱意の表明ではなく、作ったものと学習の事実を書く
- 書いた内容は面接で掘られる前提で、③を厚くしておく
- 磨く前に、求人票の必須要件(理系指定の有無)を確認する
最後にひとつ。私は50社に出して、書類が通ったのは12社です。落ちた38社の大半は、志望動機が下手だったからではなく、未経験を採る余裕がない会社に出したからだと思っています。志望動機は通過率を上げる作業であって、当たりを外さない作業ではありません。落ちて当たり前という前提で、数を確保しながら書いてください。
型ができたら、次は自分の条件に合わせて中身を差し替える番です。9パターンの書き分けから、当てはまるものを選んでください。
志望動機の前後を、抜けなく埋める
何をどの順で学び、どこに応募して、面接で何を聞かれるのか。転職までの流れを1本にまとめています。いま自分がどこにいるかを確認してから書類に戻ると、書く内容が決まります。