履歴書の志望動機について、「書き方が分からない」、「動機理由に悩む」といった方も多いでしょう。そこで今回私のほうで、キャリア別(新卒含む)、学部別、業界別、業種別に応じた志望動機の考え方や書き方の例について記事に纏めてみました。

この記事のゴール

  • 志望動機を5つの要素に分解し、自分の経歴から材料を入れて1通書き切る
  • 応募先が変わったとき、どこだけ書き換えれば済むかが分かる
  • 私が過去に書いた志望動機を例に、志望動機の書き方を学ぶ

だいき
現役の車載組込みソフトエンジニア
機械系のテストエンジニアから、プログラミングほぼ未経験で車載組込みソフトへ転職しました。この記事の型は、実際に約50社へ出して結果が出たものです。応募先に合わせて後半だけを差し替えながら回しました。
出身や応募先で変わる部分は、この記事では作りません。9パターンの書き分けから自分の記事へ進んでください。

採用側は志望動機のどこを見ているか【体験談】

面接では志望動機の書面の内容について確実といっていいほど深堀されました。

中でも面接官の質問が特に多かった記載箇所についてこの記事でまとめるようにしています。

私が未経験で受けた面接で実際に聞かれた質問と、そこから読み取った意図を並べます。

私が実際に聞かれた質問 見られていたもの(私の解釈) 志望動機のどこで答えるか
なぜ組込みエンジニアになりたいのか 動機の強さと一貫性 ①結論・②背景
なぜ機械系からソフトへ移るのか 転職理由に納得感があるか ②背景
C言語はどこまでやったか。実際に何か作ったことはあるか 自分で学べる人かどうか ②背景・⑤入社後
弊社が何をやっている会社か知っているか 企業研究の本気度、何を作りたいか ④-a業界・④-b企業
なぜうちの会社なのか 志望動機の具体性 ④-b企業
キャリアプランはあるか 入社後の成長イメージ ⑤入社後

この表から分かるのは、面接官は志望動機の内容が稚拙でないか?動機に矛盾があるようなところがないか?などを見ているのだと思います。
何故弊社を選ぶのか?なぜ転職するのか?どれだけ本気度があるのか?その具体的な根拠を書面と面接を通して確認しているのだと思います。

志望動機は5つの要素でできている

志望動機は「気持ちを書く欄」ではなく、採用担当者の疑問に順番で答えていく欄です。

私が転職時によく確認された内容は5つになります。以下の5つは毎回面接で確認されたので確実に抑えていただきたいです。

要素 書くこと
① 結論 組込みエンジニアを志望する理由を、言い切る
② 背景 ①をそう考えるに至った経験。期間や理由を入れる
③ 接続 前職や専攻の経験を、組込みで使える力として言い換える
④-a 業界 車載、家電・IoT、ロボットなどその製品領域を選んだ理由
④-b 企業 同じ業界の他社ではなくその会社を選んだ理由を、製品名や担当工程で
⑤ 入社後 貴社だからこそ私はこうなれるという具体像をだす
④は1つではなく2階層です
「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」は別の質問で、面接でも別々に聞かれます。ここを1つにまとめて「貴社の製品に魅力を感じました」で済ませると、業界を選んだ理由が抜けたまま提出することになります。

応募先ごとに書き換えるのは④だけ

①から③は使い回せます。書き換えるのは④で、その中でも業界が変わるかどうかで範囲が変わります。⑤については業界や業種などで変わりますが、ある程度のテンプレで乗り切れます。

次に出す会社が 書き換える範囲
同じ業界の別の会社(車載→車載) ④-bだけ。製品名と職種を差し替える
別の業界(車載→家電) ④-aから。業界を選んだ理由を書き直し、④-bも合わせる
応募先の業態が違う(メーカー→SES) ④-b。働き方を選んだ理由に置き換える

私は50社分をこの作り方で回しました。毎回ゼロから書いていたら、大変ですがある程度テンプレ化することで省力化しつつ品質の高い志望動機が作れると思います。逆に、④まで共通のまま出した会社は、面接で「なぜうちなのか」を聞かれたときに詰まるので注意です。

5要素に自分の材料を入れる

例文はどれも他人の経歴でできているので、自分の材料を掘り出す作業を先にやります。

①の「なぜ組込みか」を下記から選ぶ

最初の1文をゼロから考える必要はありません。組込みという仕事を選ぶ理由として、実際に評価されているものは6つに整理できます。ここから自分に当てはまるものを1つ、多くて2つ選んでください。
もしこの6つの中になければ自分で考えても大丈夫です

  1. 自分の書いたソフトが、物として世に出ていく成果物が手元に残らない仕事をしてきた人
  2. 人の生命や生活を支える製品の、中身(ソフト)を作る誰の役に立っているのか見えない仕事に物足りなさがある人
  3. ハードとソフトの両面に卓越した技術者になりたい機械・電気の知識がある人、ソフト側から下の層へ降りたい人
  4. 限られたメモリと時間の中で成立させる設計がしたい制約のある条件で工夫しものづくりをしたい人
  5. 品質が製品の安全に直結する環境で仕事がしたい評価・品質・保全など、不具合と向き合ってきた人
  6. 実機を触って動かし、直すところまでやりたい画面の中だけで完結する仕事から離れたい人
「ものづくりが好きです」だけは書かない
理由は単純で、すべての志望者が書くからです。同じく「スキルを伸ばしたい」「手に職をつけたい」も避けてください。会社が得るものが書かれておらず、自分本位と読まれます。6つはどれも「何を作るか・何に関わるか」で書かれています。主語を自分の成長ではなく製品に置くのがコツです。

②以降の材料を掘り出す

①が決まったら、残りの材料を出します。紙かメモアプリに、次の質問への答えを箇条書きで出してください。文章にするのは後です。

要素 自分に問う質問 私の答え
①② いまの仕事の何が物足りないのか。それは組込みで解決するのか 機械だけでは今後のものづくりで足りない。電動化とITを両方持ちたい
③(1つ目) 前職で誰かに褒められた・任された仕事は何か 不具合解析を評価されて、新規製品の開発を任された
③(2つ目) その仕事のどの部分が、製品を作る仕事全般で使えるか 故障したら何に影響するか、原因をどう追うかという考え方
④-a
④-b
ここでは答えを出しません。業界と会社ごとに作り直す部分なので、次の章で作ります (応募先ごとに差し替え)
組込みで何ができるようになりたいか。3年後にどうなっていたいか 担当する機能のソフトを一人で書けるように

③の質問を2つに分けているのには理由があります。「任された仕事」をそのまま書くと前職の説明で終わってしまい、組込みの話になりません。実績→評価→任命という流れで書いて、最後に「この力は対象が変わっても使える」と接続すると、読み手の頭の中で前職と応募職種がつながります。私は職務経歴書もこの順で書きました。

「未経験なので熱意で」と書きたくなったら

熱意は書いても伝わりません。ただ、単純にやる気がありますだけでは伝わりません。
私が面接で一番反応が良かったのは、熱意の表明ではなく作ったものでした。

転職前の約1ヶ月で、Arduinoを使って部屋の温湿度から熱中症のリスクを監視し、危険域に近づいたら自動でエアコンの冷房を入れる装置を作りました。部品代はボード込みで4,000円ほど。この話をしたとき、面接官から「実生活でそんなものを自作するなんて、組込みエンジニアへの意欲が高そうですね」と言われました。

高度である必要はありません。小さくても、考えて作りきって使っている。それが書ける状態なら、②の背景と⑤の入社後が具体的になります。

「なぜこの業界か」「なぜ弊社か」は後付けで作る

その企業でないとダメな理由は、よほどの縁がない限り最初からある人のほうが少ない。後付けの精度を上げるほうが早い。

5要素で一番手が止まるのが④です。しかもここは「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層を書く必要があります。正直に書くと、私はこの両方を後付けで作っていました

応募企業のWebサイトを開いて、何の製品を扱っているか、どんな強みがあるか(業界で何位なのかなど)をひたすら見る。そこから逆算して、その会社用の志望理由を組み立てるといった手法で作りました。

企業サイトと求人票で見る5か所

  • 製品ページ:何を作っている会社か。自分が触れたことのある製品はあるか
  • 会社案内・沿革:業界での位置づけ。シェアや取引先で語れるものがあるか
  • 技術・開発の紹介:その会社が売りにしている技術領域。ここが④-bの核になる
  • 求人票の担当業務:担当するのは製品のどの部分か。上流か、実装か、評価か
  • 求人票の勤務地:どこで働くことになるか。転勤の有無もここで分かる

このうち求人票の担当業務を見落とす人が多いです。会社への憧れを書いても、担当する仕事の話が抜けていると「うちの求人を読んでいないな」と伝わります。私は④-bと⑤をセットにして、「貴社が扱っている◯◯の分野で、求人票にある△△の工程に携わりたい」という形でつないでいました。

勤務地は「その会社でないとダメな理由」になる

意外と使われていないのが、最後の勤務地です。

組込みの求人を見ていくと、似たような製品を作っている会社が複数出てきます。製品でも技術でも差がつけにくいとき、実際の決め手になっているのは土地であることが少なくありません。同じような会社がA県とB県にあって、自分の地元がA県に近いならA県を選ぶ。

ただし、そのまま書くと弱くなります。

弱い書き方自宅から通いやすい場所にあるため、貴社を志望しました。
読まれる書き方結婚を控えており、今後はA県に生活の基盤を置くことが決まっています。そのうえで◯◯の分野に長く関わりたいと考え、A県で△△を手がけている貴社を志望しました。

違いは、その土地に住み続ける理由があるかどうかです。「近いから」は応募者側の都合でしかありません。一方、家庭の事情でその土地に生活の基盤を置くと決まっているなら、それは長く働ける根拠になります。採用する側から見れば、早い時期に辞める心配が減る材料です。未経験を採る会社ほど、育てた人に残ってほしいと考えています。

注意は2つ。勤務地の話だけで④-bを終わらせないこと。土地の理由は、製品や工程の理由とセットにして初めて成立します。もう1つは転勤の有無を先に確認しておくこと。「この土地で働きたい」と書いたのに全国転勤ありの求人だった、という食い違いは面接で必ず出ます。

例文集(実物・新卒向け・添削・言い回し)

丸写しはしないでください。①と⑤はそのまま使え、②③④を自分の経歴に置き換えるのが正しい使い方です。

ここからが本題です。実際に通った1通、新卒向けの1通、ありがちな文章の添削、そして差し込める短い言い回しの順に出します。

1. 私が実際に出した1通【体験談】

企業名が入る部分を外して骨子を再構成したものです。応募約50社のうち12社の書類が通ったときに使っていた文章です。

私が書いた志望動機(骨子)
もともと「ものづくり」が好きで、大学では機械工学を学び、新卒で自動車部品メーカーに入社しました。そこで製品の評価や不具合解析に携わり、要件定義から製品評価までを一貫して経験しています。ただ、EV化やIoT化が進むなかで、これからのものづくりでは電動化とIT、両方の知識を持ったエンジニアが求められると考えるようになりました。ものづくりのエンジニアとして生き残るために、私自身がその両方を手に入れたい。機械の知識を活かしながらソフトに踏み込める組込みエンジニアが、その答えだと考えて志望しました。前職で身につけた不具合解析の考え方は、対象がハードからソフトに変わっても使えると考えています。入社後はまずC言語とマイコンの理解を固め、将来はハード・ソフト共に活躍できるエンジニアになりたいです。

面接でも同じ筋を毎回話しました。車載業界そのものがソフトウェア中心の開発に移っていることを、追い風として一言添えていました。

5要素に分解すると、①結論が「機械の知識を活かしてソフトに踏み込める組込みを志望」、②背景が「ものづくりが好き→機械工学→評価・解析」、③接続が「不具合解析の考え方は対象が変わっても使える」、⑤入社後が「まずC言語とマイコン→ハード・ソフト両方」。④だけが空いていて、応募先ごとに差し込んでいました

2. 新卒向けのフル例文

中途の1通だけでは置き換えにくいので、学生向けの形も出します。これは私の体験ではなく、新卒の方が使うための作例です

作例 1学生が組込みの求人へ応募する場合

① 結論
製品を実際に動かすソフトを書く仕事がしたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
② 背景
大学の演習でマイコンを扱ったとき、使えるメモリと処理時間が決まっている中でプログラムを動かす難しさに惹かれました。その後は個人でマイコンボードを買い、センサーの値に応じて動きを変えるプログラムを自作しています。
③ 接続
研究では測定装置が思ったとおりに動かない原因を切り分ける作業を続けてきました。不具合の解析が多くを占める組込みの開発でも、同じ進め方が使えると考えています。
④-a 業界
◯◯の分野は、製品の使い勝手をソフト側が決めている領域だと理解しており、そこで働きたいと考えています。
④-b 企業
貴社はその分野の製品を自社で開発されており、募集要項にある△△の工程に関わりたいと考えました。
⑤ 入社後
入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。

置き換えるのは②③④です。②には専攻や演習、研究、アルバイトから組込みに関心が向いた出来事を1つ。③は困って解決した話で足ります。出身別のもう少し具体的な作例は、9パターンの書き分けにある文系・機械電気系・情報系の各記事に置いてあります。

3. ありがちな1通を添削してみる

未経験の方が最初に書きがちな文章を、5要素に沿って直します。内容を足すのではなく、持っている材料を出し切るだけで変わります。

添削前(よくある1通)
ものづくりが好きで、貴社の技術力の高さに魅力を感じ志望しました。前職では機械製品の評価を担当しておりました。未経験ですが、研修で学びながら一日も早く貢献できるよう努力いたします。何卒よろしくお願いいたします。

悪い文章ではありません。ただ、これでは①がふわっとしていて、②③④がほぼ空です。同じ人が同じ経歴で書き直すと、こうなります。

添削後書き直した1通

① 結論
製品の性能を決めている制御側を、自分で作れるようになりたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
② 背景
前職では機械製品の評価を4年担当し、不具合の原因を追う中で、性能を左右しているのがソフト側の作り込みだと感じる場面が増えました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を動かす装置を1つ作っています。
③ 接続
不具合が起きたときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、対象がハードからソフトへ変わっても使えると考えています。
④-a 業界
◯◯の分野は、製品の使い勝手を制御側が決める領域だと理解しており、そこで作る側に立ちたいと考えています。
④-b 企業
貴社の◇◇は、前職で仕様を検討する際に比較対象として何度も調べた製品です。求人票にある△△の工程は、その製品の応答性を決める部分だと理解しています。
⑤ 入社後
入社後はまずC言語と担当製品の理解に集中し、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。
何を足したか
足したのは熱意ではなく情報です。前職の年数(4年)、気づいたきっかけ(不具合の原因を追う中で)、自分で終わらせたこと(C言語と装置1つ)、応募先の製品名と担当工程、入社後の第一歩。この5つが入るだけで、同じ経歴でも読める文章になります。逆に「未経験ですが努力します」「何卒よろしく」は、あってもなくても評価が変わりません。

4. そのまま差し込める言い回し

フルの例文より、部品のほうが使いやすいこともあります。自分の状況に近いものを選んで、名詞だけ入れ替えてください。

使う場所 言い回し
②きっかけ(仕事で) ◯◯を担当する中で、製品の動きを決めているのが内部のソフトだと知り、自分でその部分を作れるようになりたいと考えるようになりました
②きっかけ(生活で) 家族のために◯◯を自動化できないかと考えたことが、組込みに関心を持ったきっかけです
②学習の事実 転職前にC言語の基礎を学び、マイコンで◯◯する装置を1つ作っています
③接続(解析の経験) 不具合が起きたときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、対象が変わっても使えると考えています
③接続(段取りの経験) 前工程と後工程を意識して進めてきた経験は、大人数で進める組込みの開発でも活かせると考えています
③接続(説明の経験) 専門知識のない相手に技術的な内容をかみ砕いて伝えてきました。開発でも他部署や客先へ説明する場面で活かせると考えています
④-a 業界(車載) 出荷後に簡単には直せず、不具合が事故に直結する領域だと理解しています。その厳しさの中で作る側に立ちたいと考えました
④-a 業界(IoT・家電) 生活の中の困りごとを製品として解決する領域に関わりたいと考えています
④-a 業界(ロボット・FA) 現場の作業を機械で置き換える領域に関わりたいと考えています
④-b 企業 貴社は◯◯を手がけられており、求人票にある△△の工程は、製品の□□を決める部分だと理解しています
⑤入社後 入社後はまずC言語とマイコンを覚え、担当する機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています

どれも◯◯の中身を自分の言葉に置き換えないと機能しません。そのまま出すと、他の応募者と同じ文章になります。

落ちる志望動機によくある5つの型

落ちる理由は熱意不足ではなく情報不足。足すのは気持ちではなく、事実です。

よく出てくる型を5つ挙げます。どれもそのままでは落ちるが、少し足せば通るものです。

落ちる書き方 なぜ落ちるか 足すもの
ものづくりが好きなので志望しました 組込みの志望者はほぼ全員が書く。差がつかない なぜソフトなのか。なぜ今なのか
技術力を高めてスキルアップしたい 自分の得だけで、会社側の得が書かれていない その技術で何に貢献するか
研修が充実しているので学ばせていただきたい 学習の主体が会社になっている すでに自分で始めていることの事実
貴社の技術力の高さと安定性に魅力を感じました どの会社にも出せる文章=企業研究をしていないと読まれる 製品名・領域の名指し
これから伸びる分野だと思ったので 業界予測の話で、自分の話になっていない 自分の経験と業界の変化の接点

 

新卒の就活で使うときに変わる2か所

ここまでは中途、つまり社会人の転職を前提に書いてきました。新卒の就活でも5要素の型はそのまま使えます。変わるのは2か所だけです。文章の形は新卒向けのフル例文を見てください。

1. ②の材料を、学生時代から取る

要素 中途の材料 新卒の材料
② 背景 前職の業務と、そこで感じたこと 専攻、研究、ゼミ、制作物、アルバイト、インターン
③ 接続 前職の実績を、組込みで使える力に翻訳する 学んだ内容と作ったもの。ここは薄くてもいい
⑤ 入社後 最初にやること+3〜5年後の姿 同じ。ただし新卒はここの具体性で差がつく

新卒は「未経験を育てる前提」で採用されます。だから③の接続が弱くても、それだけで落ちることはありません。大学で学んだC言語、電子回路、制御、数学は、そのまま②と③の材料になります。専攻が組込みそのものでなくても構いません。

業種・学部・業態での志望動機のかき分け

同じ5要素でも、あなたの出身と応募先によって中身が変わります。それぞれ書き方を1本ずつ記事にしました。

1. 出身で変わる(③接続の書き方)

2. 応募先の型で変わる(④-b 企業の書き方)

3. 業種で変わる(④-a 業界の書き方)

たとえば文系から未経験でSESを受けるなら1と2、機械系から車載メーカーを狙うなら1と3です。

書く前に応募資格を見る

応募資格の必須要件を先に読む
組込みの求人には、必須要件に「大学・大学院で理系学部・学科で学ばれた方」と書いてあるものがあります。私がdodaで組込みの求人を見た体感では、学部を指定しているのはメーカーが多くて全体の1〜2割程度、SIerやSESはほぼ指定なしでしたが、ここを見落とすと、志望動機の出来と関係なく落ち続けて時間を失います。

組込み自体は、入職に特定の学歴や資格が必要とされる仕事ではありません。厚生労働省の職業情報サイトでも「入職にあたって特に学歴や資格は必要とされない」と整理されています(参考:職業情報提供サイト job tag「システムエンジニア(組込み、IoT)」)。要件は会社ごとの方針なので、求人票を1件ずつ見るしかありません。

よくある質問(FAQ)

ネットの例文をそのまま使ってもいいですか?

やめたほうがいいです。例文は他人の経歴で書かれているので、②の背景と③の接続が自分のものになりません。面接でその部分を掘られると答えられなくなります。この記事のそのまま差し込める言い回しのように、部品として使って中身を入れ替えてください。

何文字くらい書けばいいですか?

Web応募のフォームなら300〜400字、職務経歴書の中に書くなら400字前後を目安にしていました。5要素それぞれを1〜3文で書くと、だいたいこの範囲に収まります。長く書くより、④-aに業界を選んだ理由が、④-bに応募先の固有名詞が入っているかを優先してください。

新卒の就活でも同じ型で書けますか?

書けます。差し替えるのは②の背景で、前職の代わりに学業や研究、部活、アルバイトを入れてください。詳しくは新卒の就活で使うときに変わる2か所に、文章の形は新卒向けのフル例文にまとめました。

成果物がないと志望動機は弱いですか?

弱くなります。ただし作るのに何ヶ月もかかるものではありません。私はC言語の基礎を書籍とUdemyで2週間、その後1ヶ月で装置を1つ作りました。この程度でも②と⑤の具体性が変わります。時間がないなら、まず「学習を始めている事実」を書けるところまで進めてください。

志望動機に年収や条件の希望を書いていいですか?

志望動機の欄には書かないほうがいいです。条件は希望年収の欄や面接の場で伝えるものです。ちなみに私は未経験だったので、希望年収は400万円くらいと答え、350〜450万円に収まる覚悟でいました。

勤務地が近いことを志望動機に書いてもいいですか?

書けます。ただし「通いやすいから」だけでは弱いので、その土地に生活の基盤を置く理由まで添えてください。結婚や家族の事情でその地域に住み続けると決まっているなら、それは長く働ける根拠として読まれます。

まとめ

志望動機の作り方を、手順として並べ直します。

  • ①結論→②背景→③接続→④業界と企業→⑤入社後、の5要素で組む
  • ①から③は使い回せる。④は業界(④-a)と企業(④-b)の2階層で書き分ける
  • ③は「実績→評価→任命」の流れで書き、対象が変わっても使える力として接続する
  • ④は企業サイトの製品・沿革・技術・求人票の担当業務と勤務地から後付けで作る
  • 勤務地を使うなら「近いから」で止めず、その土地に住み続ける理由まで書く
  • 熱意の表明ではなく、作ったものと学習の事実を書く
  • 書いた内容は面接で掘られる前提で、③を厚くしておく
  • 磨く前に、求人票の必須要件(理系指定の有無)を確認する

最後にひとつ。私は50社に出して、書類が通ったのは12社です。落ちた38社の大半は、志望動機が下手だったからではなく、未経験を採る余裕がない会社に出したからだと思っています。志望動機は通過率を上げる作業であって、当たりを外さない作業ではありません。落ちて当たり前という前提で、数を確保しながら書いてください。

型ができたら、次は自分の条件に合わせて中身を差し替える番です。9パターンの書き分けから、当てはまるものを選んでください。


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