この記事は、組込みエンジニアになりたいけれど、文系だから無理なんじゃないかと迷っている人に向けたものです。これから就職活動をする学生の方も、社会人から転職を考えている方も、どちらでも読めるように書きます。

先に答えを書きます。文系でも目指せます。やることは2つだけです。理系を条件にしていない募集を探すことと、そこで見られるポテンシャルを示すこと。この2つができれば、文系か理系かは関係なくなります。

理系と比べて不利な面がまったくないとは言いません。ただ、その不利は中身がはっきりしていて、埋め方もあります。埋め方は新卒と中途で少し違うので、両方書きます。

<自己紹介>筆者は機械系のテストエンジニアから、プログラミングほぼ未経験で車載組込みソフトの現場へ転職した現役の車載組込みソフトエンジニアです。最初に断っておくと、私は文系ではありません。体験として書けるのは、ソフトウェアを何も知らない状態で入った側の話と、現場で文系出身のエンジニアを見てきた話です。だから「文系でも余裕です」とも「文系には無理です」とも書きません。公的なデータと、私が現場で見たことだけで答えます。数字は2026年7月時点のものです。

先に結論:文系でも組込みエンジニアは目指せます

組込みエンジニアは、入るときに学歴や資格が条件になっていない仕事です。理系を条件にしていない募集は、そもそも学部ではなく人のポテンシャルを見ています。教育すれば伸びるか、入ってから成長するか。未経験に技術力を期待している会社はありません。だから示すのは技術力ではなく、これまでどれだけ成果を出してきたか、そしてそれが入社後にどう活きるかです。ここに文系も理系もありません。

組込みエンジニアという職業について、厚生労働省の職業情報提供サイト job tag「システムエンジニア(組込み、IoT)」の「就業するには」に、こう書かれています。

入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、大学・大学院卒、高専卒が多い」。ここが出発点です。そのうえで、新卒採用では電気・電子・情報などを履修している人が多いとしたうえで、「中途採用の場合は、学部学科よりも、どのような開発をしてきたかという経験が重視される」と続きます。

「開発をしてきたか」と書かれていると、未経験には関係のない話に見えると思います。ここは誤解されやすいので、先に潰しておきます。

未経験に技術力を期待している会社はありません
未経験可の募集で実務経験を要求したら、応募できる人がいなくなります。この一文が言っているのは「学部で判断していない」ということです。では何で判断しているのかというと、ポテンシャル。教育すれば技術が伸びるか、入ってから成長するか。実際、組込みの現場で必要になる知識のほとんどは学校では学べない企業ノウハウなので、入社時点で全部知っている必要がありません。だから採用で見られるのは伸びしろのほうです。

つまり、文系を弾く条件が職業として存在するわけではありません。募集側が理系を条件に挙げていないなら、そこは人を見ています。

新卒で目指す場合 中途で目指す場合
見られているもの ポテンシャル(教育すれば伸びるか、成長するか)
ポテンシャルの示し方 学業・研究・部活・アルバイトで成果を出した経験と、その伸び方 前職でどれだけ活躍したかと、それが入社後にどう活きるか
強み 在学中の時間を使える。もともと学び直しが前提の採用 仕事で成果を出した実績を、そのまま材料にできる

新卒と中途で材料の出どころは違いますが、勝負の仕方は同じです。「この期間でこれだけの成果を出した。だから未経験でも早い段階で成果を残せるはずだ」という筋で語る。技術の勉強は、その本気度を裏づける材料として添えます。

この記事では、まず文系が実際に入れている理由を書き、次に理系と比べてどこが不利なのかを示します。そのうえで、その不利をどう埋めるのかを3つに分けて説明します。

仕事の中身そのものをまだ知らない人は、先に組込みエンジニアの仕事内容の記事を読んでからのほうが、この先の話も入ってきやすいと思います。

文系でも組込みエンジニアになれる理由

理由は2つあります。

1つ目は、実際に文系出身のエンジニアが私の現場にいることです。

文系の人は、普通にいます
理系より少ないですが、普通にいますね。文系の方も上流工程や実装、評価までピンキリでいます。また技術が弱い人もマネジメントよりで活躍したりなど、逃げ道はいくらでもあります。ただ理系要素が多いのは事実なので、そこが理解できずに苦しむ人も沢山います。

「逃げ道はいくらでもある」は、大事なところだと思っています。組込みの仕事は実装だけではありません。仕様をまとめる、評価する、関係者と進め方を調整する、というところまで含めて一つのチームです。技術で正面から勝てなくても、居場所が一本道ではないということです。

2つ目は、人がまったく足りていないことです。同じjob tagに、ハローワークの求人統計から算出した有効求人倍率が載っています(令和6年度)。

4.77
組込み・IoTのSE
求職者1人に求人4.77件
2.57
Web系のSE
同じ統計での比較
0.94
プログラマー
求人より求職者が多い

求職者1人に対して求人が4.77件ある状態です。Web系の2.57、プログラマーの0.94と比べると突き抜けています。採用の枠を広げないと人が採れない。文系にも門戸が開くのは、この逼迫があるからです。

同じITでも、プログラマーは0.94で求人より求職者のほうが多い。未経験から入るという意味では、組込みはむしろ入りやすいほうの職種です。

正直な話、理系より不利な面はあります

ここは隠さずに書きます。組込みはITの中でも理系出身が多い仕事で、文系にとって有利な条件ではありません。

job tagには、職業ごとに「この職業で実際に働いている人が多いと感じる学歴」という調査結果が載っています。実際の学歴の分布ではなく、その職業を知っている人の体感で、複数回答なので合計は100%を超えます。それでも職業ごとの傾向ははっきり出ました。組込みと、比較のためにWeb系のシステムエンジニアプログラマーを並べます。

「多い」と感じられている学歴 組込み・IoT Web系SE プログラマー
大卒 72.0% 85.0% 64.6%
修士課程卒 44.0% 17.5% 4.2%
専門学校卒 14.0% 17.5% 25.0%

目に付くのは修士課程卒です。組込みだけ44.0%。Web系の17.5%、プログラマーの4.2%と比べると、差がはっきりしています。ハードウェアや制御と地続きの仕事なので、大学や大学院で電気・電子・情報をやってきた人が集まりやすいのだと思います。私の周りも理系出身が大多数です。

もうひとつ、よく見かける数字にも触れておきます。

「IT従事者の3割は文系」は、組込みの数字ではありません
検索すると「IT従事者の約3割は文系出身」という数字によく当たります。出どころはIPA(情報処理推進機構)のIT人材白書2020で、原典を開いて確認しました。図表3-4-6「先端IT従事者、先端IT非従事者の最終学歴での専攻分野」がそれです。文系30.2%とされているのは、AIやIoTなどの先端分野に携わっている人500人の内訳。先端に携わっていない人500人のほうは、文系が34.6%です。どちらもIT全体の話であって、組込みを取り出した数字ではありません。組込みに限った専攻分野の公的データは、私が探した範囲では見つかりませんでした。

つまり「ITは文系でも3割いる」を、そのまま組込みに当てはめるのは無理があります。ここを楽観したまま応募すると、理由が分からないまま書類で落ち続けることになります。

大事なのはここからです。不利といっても中身は漠然としたものではなく、次の3つに分かれます。そして3つとも埋められる。新卒でも中途でも、埋めるものは同じです。

  1. 数学とハードウェアへの苦手意識 → 実務で使う数学はどのレベルか
  2. ポテンシャルの示し方が分からない → 文系が見せるのは技術力ではなくポテンシャル
  3. 一部の募集が理系を指定している → 応募する前に確認すること

逆に言えば、この3つ以外に文系だからという理由で止められる場面は、私が見てきたかぎりありません。順番に潰していきます。

不安の1つ目:実務で使う数学はどのレベルか

文系の人が一番気にするのが数学だと思います。私が実務で使っている数学を、レベル別に並べます。

数学の種類 実務で使う頻度
四則演算・割合・単位換算 毎日使う
2進数・16進数・ビット演算 毎日使う
三角関数・対数(センサ値の換算など) 使うが頻度は低い
微分積分(制御など) 使うが頻度は低い
統計 私は使っていない

「文系でも数学は要りません」と書いてある記事は、信用しないほうがいいです。三角関数も微分積分も出てきます。ただ、出てくる頻度は高くありません。

そして毎日触るのは上の2つだけです。こちらは数学というより、コンピュータがデータをどう持っているかという話で、高校数学の難しさとは種類が違います。2進数と16進数は避けて通れませんが、これは覚えれば済むもので、数学の得意不得意とはあまり関係ありません。

統計については、職種によると思います。少なくとも私の仕事では使っていません。

高度な数学は、今はAIに聞けます
現在ではAIの台頭もあり、高度な数学の解説はAIに頼ることもできるので、そこまで不安に感じる必要はないと思っています。分からない式が出てきたら聞けばいい。数学が苦手だから組込みは無理だ、と入口で判断してしまうのはもったいないです。

先に埋めるのは、数学よりもプログラム言語

数学とハードウェアを先に片付けようとして止まってしまう人がいますが、順番が逆だと思っています。

まずはC言語です。プログラムが読めれば、最低限なんとかなります。ハードウェアの理解と数学は、入社してから1年から2年かけて同時並行で覚えれば間に合います。

つまり入社前に埋めるべきなのは数学ではなく、C言語ひとつです。ここは文系も理系も、新卒も中途も条件は変わりません。


// あわせて読みたい
組込みでC言語が使われる理由|現役エンジニアが解説

文系の強みはどこで役に立つのか

不利な面ばかり書いてきましたが、文系のほうが有利になる場面もあります。

job tagには、組込みエンジニアについてこういう記述があります。「開発は共同作業となることから、チームワークが重要であり、人柄も重視される」「言われたことを実現するだけでなく、新たな仕組みを提案するような能動的な姿勢も求められる」。顧客の要件を聞き取り、実際の開発まで過不足なくできるようになれば一人前と見なされる、とも書かれています。

これが現場の実感と合っているか、正直なところを書きます。

技術以外のところで勝負するのが基本です
コミュニケーション能力がやはり一番の強みとして出ているかなと思います。逆にコミュニケーション能力のない文系は厳しい。技術面でのスタートダッシュは理系がダントツで有利なので、技術以外のところで勝負するのが基本になります。

技術のスタートダッシュで理系に勝てないのは、認めたうえで動いたほうが早いです。そのぶん、技術以外で明確に強い部分を用意する。文系だからコミュニケーションが得意、という話ではなく、自分の材料を棚卸ししてどこで戦うかを決めるということです。

実際に評価される場面を3つ挙げます。

認識を合わせる力

組込みは複数人での開発が前提です。技術が追いつく前の段階でも、話が通じる人には仕事が集まります。

ドキュメント作成力

膨大なプログラムをコードだけで理解して管理するのは無理があります。設計書や資料を分かりやすく書く力は、入社後ずっと問われます。

要件を聞き取る力

要件を聞いて開発まで過不足なく持っていけて一人前、と国の職業情報にも書かれている部分です。

2つ目のドキュメント作成力は、私が入社してから実感したものです。組込みのプログラムは規模が大きく、コードを読むだけで全体を把握することはできません。設計の意図を文章で残せるかどうかが、そのままチームの生産性になります。ここは学生時代に文章を書いてきた人のほうが立ち上がりは速いはずです。

不安の2つ目:文系が見せるのは技術力ではなくポテンシャル

ここがこの記事で一番伝えたいところです。

未経験の採用で、技術力を比べられることはありません。比べられたら理系にも経験者にも勝てません。見られているのはポテンシャル、つまり教育すれば伸びるか、入ってから成長するかです。

そしてポテンシャルは、抽象的な熱意で示すものではありません。これまでどれだけ成果を出してきたかで示します。人がどれくらいの期間でどこまで伸びたかは、過去の実績にいちばん表れるからです。

組み立て方は1つです。「前職ではこの期間で、これだけの成果を出した。だから未経験の分野でも、早い段階で成果を残せるはずだ」。この筋で語れれば、学部が文系かどうかは関係なくなります。

私が職務経歴書で組み立てたストーリー

私が前職でやっていたのは、自動車部品メーカーでの製品の評価と不具合解析です。組込みソフトとは何の関係もありません。それでも書類と面接では、この経験だけで勝負しました。

書いたのはこういう流れです。不具合解析を数多くこなした結果、製品の仕様を把握する能力が上がった。その能力を評価されて、新規製品の開発に任命された。実績から評価につながり、評価から任命につながったという順番で並べています。

そこに数字を付けました。不具合解析は担当した8件すべてを完了。主力製品の新機種開発を2機種。本来は主任クラスが担当する要件定義を、入社3年目から任されました。他部署からは、指名で不具合解析2件と依頼試験1件を直接受けています。

これらは全部、機械の話です。ソフトウェアの実績ではありません。それでも成立したのは、採用側が見ているのが技術の中身ではなく、成果を出すまでの速さと伸び方だからだと思っています。

// 書き方はこちら
文系から組込みエンジニアを志望する動機の書き方|「なぜ組込みか」の作り方と例文

「入社後にどう活きるか」まで言い切る

実績を並べるだけでは足りません。それが転職後にどう活きるかまで、自分で接続します。

私は、機械系の経験は「コスト・安全・仕様・品質の観点で活かせる」、ハード面の強度や耐久性については「3年半の開発経験がある」と書きました。組込みの仕事にどうつながるかを、こちらから提示したということです。

文系の場合も同じです。前職で何をどこまでやったか、それが開発の現場のどの場面で役に立つのか。相手に想像させるのではなく、自分の言葉で結びつけてください。先に挙げた3つの力をまとめて自分のポテンシャルを示しましょう。

作ったものは「本気度」の裏づけとして添える

技術の勉強や自作の作品も、もちろん効果があります。ただし位置づけは、技術力の証明ではなく意欲と学習能力の裏づけです。

私は書籍とUdemyでC言語を2週間ほど勉強して、そのあと1か月かけてArduinoで作品を1つ作りました。熱中症のリスクを監視するシステムです。部屋の温湿度から危険度を判定して、危ないレベルに近づいたら赤外線でエアコンを自動でつける。祖父母のために作りたかったという動機もありました。

面接でこの話をしたときはウケがよく。「実生活でそんなものを自作するなんて、組込みエンジニアへの意欲が高そうですね」と言われて、好印象だったのを覚えています。技術の深さを評価されたというより、本気度が伝わったという感触でした。

期間は合計で1か月半です。1か月半で1つ完成させた事実そのものが、「この人は短期間で形にする」という材料になります。

学生の場合は、学業や活動での成果がそのまま材料になる

新卒採用はもともとポテンシャル採用です。実務の実績がないのは全員同じなので、材料の出どころが学業や課外活動に変わるだけで、示すものは変わりません。

研究でも、部活動でも、アルバイトでも構いません。取り組んだ期間、そこで出した成果、任されるようになった役割。この3つがそろえば、中途の職務経歴と同じ形で語れます。「この期間でここまでやった」という事実が、そのまま伸びしろの根拠になります。

そのうえで、情報系の科目を取る、自分で作品を1つ作る、といった技術側の材料を足していく。在学中は時間を使えるぶん、社会人より有利な部分です。

ここは正直に書いておきます。私は中途で入った側なので、新卒の就職活動そのものは経験していません。ただ、公的な職業情報に書かれているのは「新卒採用は電気・電子・情報を履修している人が多い」であって、「文系は採らない」ではありません。

私が実際に書いた書類の中身は、転職準備の記事にまとめています。手を動かす教材が必要なら、Arduinoの基礎ドリルから始めてもらえば作品づくりまでつながります。


// あわせて読みたい
未経験から組込みエンジニア転職になるには?|未経験転職した私が解説


// 手を動かすなら
Arduino 基礎ドリル|レジスタから学ぶ組込みマイコン入門

不安の3つ目:応募する前に確認すること

3つ目は募集側の条件です。理系に限定している募集は確かにあります。ただし全部ではありません。見分け方さえ知っていれば、避けて動けます。

募集要項で見るのは「必須要件」

必須要件の欄に「大学・大学院で理系学部、学科で学ばれた方」といった条件が書かれていることがあります。歓迎要件ではなく必須要件のほう。ここを見落として応募すると、書類で落ち続けて時間を失います。新卒採用の募集要項も同じで、対象学部が指定されている企業とそうでない企業があります。

私が転職活動をしたときは、dodaで「組み込みエンジニア」と検索して求人を見ていました。そのときの体感を書きます。学部の指定が多いのはメーカーで、SIerやSESには限定がありませんでした。ただしメーカーでも学部指定があったのは1割から2割程度です。

つまり、理系限定の募集は存在するけれど少数派です。応募先が消えるほどではありません。エージェントや大学のキャリアセンターを通すなら、担当者に直接聞くのが早いです。募集要項に書かれていない運用まで把握していることがあります。

  • 募集要項の「必須要件」に学部・学科の指定がないか確認した
  • 指定があった場合、歓迎要件ではなく必須要件かどうかを見分けた
  • メーカー中心に探すなら、学部指定で弾かれる分を見込んで応募数を多めに確保した
  • 「なぜ理系ではないのに組込みなのか」への答えを用意した
  • 学部の代わりに見せられる材料を1つ持っている

狙う領域は、意外と下回りとアプリ

組込みの中でも、文系が入りやすい領域と、そうでない領域があります。私の肌感では、回路の特性を読んだり、微分積分を使う制御を設計したりする領域は難しいです。ここは学生時代の蓄積の差が出ます。

一方で、マイコンを直接動かす下回り(ハードウェアに近いところで、機器を動かす基本部分を作る仕事です)や、制御ロジックを組み立てるアプリ寄りの仕事は、むしろ入りやすいと思っています。私の実感では、マイコンの使い方は理系出身でも入社してからゼロで覚える人がほとんどで、スタート地点にそれほど差がつきません。高度な数学も要りません。

「下回り=難しそう」というイメージとは逆になりますが、スタートラインがそろっている領域を狙うほうが、文系にとっては勝ち目があります。

「なぜ理系ではないのに」は聞かれる前提で

面接では、学部と職種が違うことについて必ず聞かれると考えておいたほうがいいです。私も機械系からソフトへ移った理由は聞かれました。文系ならなおさら聞かれます。

用意するのは、守りの言い訳ではありません。ものづくりがしたい、技術力を身に付けたい、といった挑戦的な答えを準備しておくことです。学部の話に引きずられて「文系ですが頑張ります」と返すと、そこで終わってしまいます。

私は逆に、経験者と同じ枠で選考を受けたときに「あなたが経験者に勝てる要素は何ですか」と聞かれて詰まったことがあります。正直に「技術では勝てません」と答えて落ちました。準備していなかったからです。いま同じことを聞かれたら、技術で勝てないのは認めたうえで、仕事の進め方と、これまで成果を出してきた速さで返す。技術力の比べ合いから降りて、ポテンシャルの話に持っていくということです。聞かれると分かっている質問に答えを用意しておくだけで、結果は変わります。


// あわせて読みたい
組込みエンジニアの面接で実際に聞かれた質問

よくある質問(FAQ)

文系でも本当に採用されますか?

されます。国の職業情報にも「入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない」と書かれていますし、私の職場にも文系出身のエンジニアは普通にいます。やることは2つで、理系を条件にしていない募集を選ぶことと、そこで自分のポテンシャルを示すことです。未経験に技術力を求めている会社はありません。

新卒の文系でも組込みに就職できますか?

できます。新卒採用はもともとポテンシャル採用なので、実務の実績がないのは全員同じです。学業・研究・部活動・アルバイトで「この期間にここまでやった」と言える経験があれば、それが伸びしろの根拠になります。そこへ情報系の科目や自作の作品を足し、対象学部を指定していない企業を選ぶ。在学中は時間を使えるぶん、社会人より有利な部分もあります。もし新卒で入れなかったとしても、中途では学部そのものを見られにくくなるので、道が閉じるわけではありません。

数学が苦手でも大丈夫ですか?

毎日使うのは四則演算と単位換算、それに2進数・16進数とビット演算です。三角関数や微分積分も出てきますが、頻度は高くありません。高度な部分はAIに聞きながら進められる時代でもあります。ただ「数学に苦手意識がある人は苦労する」のも本当なので、まったく向き合わないつもりなら別の職種のほうがいいです。向き不向きそのものは「組込みエンジニアはやめとけ」は本当かの記事で掘り下げました。

何から勉強すればいいですか?

C言語からです。プログラムが読めるだけでも、入社後の吸収がまったく違います。ハードウェアと数学は、入社してから1年から2年かけて同時並行で覚えれば間に合う。順番を逆にして電子回路の本から始めると、たいてい途中で止まります。

資格は必要ですか?

必須ではありません。私は応用情報技術者とC言語プログラミング能力検定1級を持っていますが、給料に反映されたことはありません。ただし応募のとき、学習してきた事実を書類で示す材料にはなります。学部で示せるものがない文系ほど、その材料の価値は上がると私は考えています。

前職の業種が違うだけで、理系出身の場合は?

その場合は学部ではなく、前職の経験をどう接続するかの話になります。機械系から転職した私の実例を異業種から組込みエンジニアになれるかの記事に書いているので、そちらのほうが近いです。

文系から入ると年収は低くなりますか?

入口の年収は、出身学部より未経験かどうかで決まります。未経験で入るときに提示されるのは400万円台が中心で、新卒の初任給水準ともほぼ並びます。金額の内訳は年収の記事で公開しています。

まとめ|募集を選んで、ポテンシャルを示す

文系でも組込みエンジニアは目指せます。やることは2つです。理系を条件にしていない募集を探すこと。そこで自分のポテンシャルを示すこと。この2つができれば、文系か理系かは関係なくなります。

理系より不利な面があるのは事実です。job tagの調査でも、修士課程卒が多いと感じられている割合は組込みだけ44.0%で、Web系やプログラマーより高い。よく引用される「IT従事者の3割は文系」も、原典はIT全体の調査であって組込みの数字ではありません。楽観はしないほうがいいです。

それでも門が開いているのは、有効求人倍率4.77が示すとおり人手が足りていないからで、私の職場にも文系出身のエンジニアは普通にいます。そして理系を条件に挙げていない募集は、学部ではなく人を見ています。未経験に技術力を期待している会社はありません。

だから示すのは技術力ではなく、これまでどれだけ成果を出してきたかと、それが入社後にどう活きるかです。「この期間でこれだけできた。だから未経験でも早い段階で成果を残せるはずだ」。この筋で語れるように、前職や学生時代の実績を並べ直してください。C言語と自作の作品は、その本気度を裏づける材料として添えます。数学とハードウェアは、入ってから1年から2年かけて覚えれば間に合います。

学部は変えられませんが、示す材料はこれから作れます。理系より少し遠回りになるだけで、道が閉じているわけではありません。

埋めるものが決まったら、次は順番です

何をどの順番で学び、どう就職・転職まで持っていくのか。私が実際にたどった道のりを一枚のロードマップにまとめました。文系に必要なのは、学部の外で技術の材料を作ることです。作るところから始めましょう。

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