自社で製品を持っているメーカーの組込み求人。未経験から組込みを目指すなら、一度は狙いたい応募先だと思います。

この記事のゴール

  • 「なぜ受託や派遣ではなく自社製品を持つ会社か」に5つの理由から答える
  • その製品でなければならない理由を、企業サイトから逆算して作る
  • 中途の未経験には狭き門という前提で、賭けずに出す

応募 50書類通過 12うちメーカー系は ごくわずか


だいき
現役の車載組込みソフトエンジニア
機械系のテストエンジニアから、プログラミングほぼ未経験で車載組込みソフトへ転職しました。応募約50社・書類通過12社・内定3社という結果で、そのとき使った型をこのブログに残しています。

先に、あまり書かれていない現実を共有します。中途の未経験でメーカーの書類を通すのは、かなり厳しい。私は約50社に応募して12社の書類が通りましたが、その大半はSESとSIerで、メーカー系はごくわずかでした。
それでもメーカーを狙う意味はあります。大事なのは、狭い門だと分かったうえでそこだけに賭けない出し方をすることです。

なぜメーカーの未経験枠は通りにくいのか

理由は単純で、未経験者をゼロから育てる余裕がある会社ほど人気が集中するからです。応募者が多ければ、選ぶ側は経験者や若い人から順に見ていきます。

ただし、ここまでの話は中途、つまり社会人の転職に限った話です。

新卒はむしろメーカーが本命
新卒採用はそもそも未経験を育てる前提で行われます。だから新卒であれば、メーカー系は十分に狙える応募先です。この記事の「通りにくい」という話は中途の現実なので、就活生はこれを読んで応募先を狭めないでください。大学で学んだC言語、電子回路、制御、数学がそのまま材料になりますし、学生のうちにマイコンで小さなものを1つ作っておけば面接で話せます。学生が書く場合の文章の形は新卒向けの作例にあります。

厳しいのは中途の未経験枠のほうです。ここから先は、その前提で読んでください。

だからといって出さない理由にはなりません。年収の面でも、私の肌感ではメーカーとSIerが同程度で、SESはそれより低いオファーが多かった。業界としてどこを目指すかと聞かれれば、私はメーカーを勧めます。最初からメーカーに入れなくても、SIerやSESで実務経験を積んでからメーカーへ移る道もあります。

つまりメーカーへの応募は、通れば大きいが、そこだけに賭けないという位置づけで扱うのが現実的です。志望動機はその前提で書きます。

メーカーを志望する理由は、この5つから選ぶ

「安定しているから」は動機にならない。自社製品を選ぶ理由は5つあるので、経歴に合うものを選ぶ。

メーカーの選考では「なぜ受託や派遣ではなく、自社製品を持つ会社なのか」を聞かれます。ここで「安定しているから」「大手だから」と答えると終わりです。自社開発を選ぶ理由として挙げられているのは、次の5つです。

  1. 一つの製品に長く関わり、企画の段階から手を入れたい前職で、決まった仕様を受け取るだけの立場に物足りなさがあった人
  2. 自分が手を動かした製品の評価を、直接受け取りたい使う人の反応が届かない仕事をしてきた人
  3. 製品の出来が、自分の評価として返ってくる環境で働きたい成果と評価がつながる働き方を求めている人
  4. 開発だけでなく、企画や営業の側とも関わって製品を作りたい前職で他部署と組んで物事を進めてきた人
  5. 自社製品の開発に、腰を据えて従事したい短い案件を渡り歩く働き方ではなく、深く関わりたい人

1から3は、受託や派遣では成立しにくい理由です。決められた範囲を請け負う働き方では、企画から関わることも、製品の評価が自分に返ってくることも起きにくい。だから「メーカーでなければならない」の答えになります。

この5つだけでは、まだ足りない
5つはどれも「自社製品を持つ会社」を選んだ理由であって、その会社を選んだ理由ではありません。メーカーで評価が分かれるのはそこです。次の章で、その会社でなければならない理由の作り方を出します。

「その製品でなければならない理由」の作り方

メーカーの志望動機で評価が分かれるのは、ほぼ1点です。その会社の製品を名指しできているか

自社製品を持っている会社は、製品への思い入れを見ます。「技術力が高いから」「安定しているから」は、同業他社にもそのまま出せる文章なので、企業研究をしていないと判断されます。私は企業ごとの志望理由を、次の順で後付けで作っていました。

① 製品を1つ選ぶ
製品ページから、自分が触れたことのあるものを探す
② 位置づけを調べる
会社案内や沿革で、業界での強みやシェアを確認する
③ 求人票と結ぶ
担当業務欄を読み、その製品のどの工程を任されるか確認する
④ 自分と接続する
前職の経験や関心と、①③を1文でつなぐ

正直に書くと、これは本心から湧いてきた理由ではありません。応募企業のWebサイトを開いて、何を作っている会社か、どんな強みがあるかをひたすら見て、そこから逆算して作りました。

ただ、それでいいと思っています。その企業でないとダメな理由なんて、よほどの縁がない限り最初からある人のほうが少ない。後付けを恥ずかしがるより、後付けの精度を上げるほうが早いです。

見落とされがちなのが③です。会社への憧れだけを書いて、担当する工程の話が抜けている書類は「求人を読んでいないな」と伝わります。

メーカー向けの作例(置き換えるところつき)

形にすると、こうなります。私が実際に出した文章そのものではなく、メーカー応募のために組み直した作例です。型は私が50社に使ったものと同じ5要素です。

作例 1ハード側の職種からメーカーの組込み求人へ応募する場合

① 結論
製品の動きを決める側に立ちたいと考え、組込みエンジニアを志望しました。
② 背景
前職では機械部品の評価と不具合解析を4年担当し、製品の性能を左右しているのが制御側の作り込みだと感じる場面が増えました。転職前にC言語の基礎を学び、マイコンでセンサーの値から機器を自動制御する装置を1つ作っています。
③ 接続
不具合が起きたときに影響範囲を見て原因を追う考え方は、対象がハードからソフトへ変わっても使えると考えています。
④-a 業界
前職で扱ってきた◯◯の分野は、製品の性能を制御側が決める場面が多く、その領域で作る側に立ちたいと考えています。
④-b 企業
なかでも貴社の◇◇は、前職で仕様を検討する際に比較対象として何度も調べた製品です。求人票にある△△の工程は、その製品の使い勝手を決める部分だと理解しています。
⑤ 入社後
入社後はまずC言語と担当製品の理解に集中し、担当機能のソフトを一人で書けるようになることを目標にしています。将来は不具合の解析から修正まで任せてもらえるエンジニアを目指します。

置き換えるのは②③④です。④-bに固有名詞が入っているかだけは必ず確認してください。ここが空欄のような文章だと、メーカーでは特に読まれません。

なお④は「なぜこの業界か(④-a)」と「なぜこの会社か(④-b)」の2階層です。この記事が扱うのは④-bで、④-aの書き方は業種ごとの記事に分けています。

5要素それぞれの意味と埋め方は、組込みエンジニアの志望動機の作り方に書いています。


// あわせて読みたい
組込みエンジニアの志望動機の作り方|未経験転職で使った例文つき

メーカーでよくあるNGと直し方

やりがちな書き方 どう読まれるか
安定した経営基盤に魅力を感じました 職種にも業界にも関係ない。志望企業を調べていないと映る
貴社の技術力の高さに惹かれました 同業他社にもそのまま出せる。何の技術かが無い
身近な製品を作っているので興味を持ちました 消費者の目線で止まっている。作る側の話になっていない
大手で腰を据えて働きたいです 働き方の希望であって、志望の動機ではない
幅広い製品に携われそうだと思いました 自社製品を持つ会社への理由として弱い。むしろSIer向けの動機
損をする書き方貴社は業界でも高い技術力を持ち、経営基盤も安定しているため、腰を据えて成長できる環境だと感じました。身近な製品を作っている点にも魅力を感じています。

直したあと貴社の◯◯は、前職で製品仕様を検討する際に比較対象として何度も調べた製品です。求人票にある△△の工程は、その製品の応答性を決める部分だと理解しています。前職で扱っていたのはハード側でしたが、性能を決めているのは制御側だと感じる場面が多く、その部分に関わりたいと考えました。

違いは熱意ではありません。固有名詞と、担当工程への言及があるかどうかです。

子会社を受けるときの書き分け

メーカー子会社を受けるときに、よくある失敗があります。親会社の製品を語って終わることです。

子会社は親会社の製品の一部を担当していることが多く、担当範囲が求人票に書かれています。志望動機で親会社の完成品への憧れだけを語ると、「うちの仕事を分かっていない」と読まれます。書くべきなのは、その子会社が担当している部分と、そこに自分がどう関わりたいかです。

親会社の製品に触れるなら、「◯◯という製品の中で、貴社が担当されている△△の領域に関わりたい」という形でつないでください。1文で印象が変わります。

応募資格の必須要件を先に見る

メーカーは学部指定がある求人が混ざる
組込みの求人には、必須要件に「大学・大学院で理系学部・学科で学ばれた方」と書かれているものがあります。私がdodaで組込みの求人を見た体感では、学部を指定しているのはメーカーが多く、全体の1〜2割程度。SIerやSESはほぼ指定なしでした。志望動機を書き込む前に、まず応募資格を読んでください。

組込み自体は、入職に特定の学歴や資格が必要とされる仕事ではありません。厚生労働省の職業情報サイトでも「入職にあたって特に学歴や資格は必要とされない」と整理されています(参考:職業情報提供サイト job tag「システムエンジニア(組込み、IoT)」)。学部指定は会社ごとの方針なので、求人票を1件ずつ確認するしかありません。

同じ志望動機を、どこまで使い回せるか

メーカー用に書いた志望動機は、そのままSES・SIerにも出せます。書き換えるのは④だけだからです。私が実際にやっていたのも、メーカーと、SES・SIerを同時に出すやり方でした。

志望動機の①から③は共通なので、追加の作業は④の書き分けだけです。同じ業界の中で出すなら、差し替えるのは④-b(会社の理由)だけで足ります。1社あたり10分ほどで用意できます。メーカーは通れば大きい応募先として出しつつ、通過率の高い先で面接の場数を踏む。面接に慣れると、メーカーの面接での話し方も変わってきます。

応募先の選び方や、SES企業を見極める確認ポイントは未経験から組込みエンジニア転職になるには?にまとめています。


// あわせて読みたい
未経験から組込みエンジニア転職になるには?|未経験転職した私が解説

よくある質問(FAQ)

未経験でメーカーに入るのは無理ですか?

無理ではありません。私の書類も、数は少ないながらメーカー系で通ったものがありました。ただ確率は低いので、そこだけに賭けない出し方を勧めます。実務経験を1〜2年積んでから経験者としてメーカーを受けるほうが、通る確率は上がります。

その会社の製品を使ったことがない場合はどうしますか?

使ったことがなくても書けます。製品ページと会社案内を読んで、どの分野で何を作っている会社かを把握し、求人票の担当工程と自分の経験をつなげてください。無理に「愛用しています」と書く必要はありません。

メーカーのほうが年収は高いですか?

私の肌感では、メーカーとSIerが同程度で、SESはそれより低いオファーが多かったです。ただし会社によって差が大きいので、統計ではなく私の印象として受け取ってください。

新卒ならメーカーを狙っていいですか?

狙ってください。新卒採用は未経験を育てる前提なので、中途より条件は良いです。大学で学んだC言語、電子回路、制御、数学がそのまま材料になります。

まとめ

メーカーの組込み求人に出す志望動機の要点です。

  • 中途の未経験でメーカーの書類が通る確率は低い、という前提を持つ
  • 製品を1つ名指しし、求人票の担当工程と自分の経験をつなぐ
  • 「技術力」「安定性」「身近な製品」だけで終わらせない
  • 子会社は親会社の完成品ではなく、その会社の担当範囲を語る
  • 書き込む前に応募資格の学部指定を確認する
  • SES・SIerと同時に出して、活動を止めない

メーカーは狭い門ですが、志望動機の作り方で通過率は確実に変わります。固有名詞を1つ入れる。それだけでも、他の応募者とは違う書類になります。

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